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知事記者会見(臨時)/平成22年2月22日/平成22年度当初予算案について

会見日時:平成22年2月22日(月曜日) 14時00分から14時45分まで
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○知事
 平成22年度当初予算案の概要について、お手元に配付しました「平成22年度当初予算案の概要」に基づきご説明申し上げます。
 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。
 本県財政は、平成15年度の財政改革プラン策定以降における行財政改革の取り組みにより、財政再建団体への転落を回避するとともに、生活創造社会推進のための重点施策や、東北新幹線鉄道整備事業費負担金等の県政が抱える課題に積極的に対応してきました。また、財源不足額(基金取崩額)の圧縮を図るとともに、元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字転換させることにより、将来世代への負担先送り体質から脱却し、財政構造改革を着実に前進させたところです。
 こうした改革努力にもかかわらず、過去数年にわたる地方交付税総額の削減や社会保障関係費の増加等により、真に持続可能な財政構造の確立に向けては道半ばを強いられております。
 平成22年度当初予算の編成に当たっては、引き続き県税収入等の厳しい状況が見込まれる中、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力の徹底を図るとともに、国の予算で大幅減となった公共事業費等の縮減幅にも配慮しつつ、雇用の創出に資する施策について積極的な対応を図ったほか、東北新幹線全線開業対策等、「平成22年度「選択と集中」の基本方針」に掲げた5つの戦略キーワードに基づく施策の重点化に努め、本県の厳しい経済・雇用情勢と県民生活の安心確保のための施策にできる限りの対応を行うこととしました。
 この結果、年間総合予算として編成した平成22年度一般会計当初予算は、規模としては、6,923億円、平成21年度当初予算対比11億円、0.2パーセントの増となり、前年度とほぼ同額となりました。
 また、財源不足額(基金取崩額)を平成21年度当初予算から半減させたほか、県債発行総額を、大幅に増額となった臨時財政対策債を含め前年度当初発行総額以下に抑制するなど、財政健全化を着実に進めることができたところであります。
 なお、国の第二次補正予算に呼応した平成21年度2月補正予算については、平成22年度当初予算と一体で編成することとし、施策効果の最大限の発現を図るものであります。
 
 次に、「平成22年度未来への挑戦推進事業の概要」に基づいて、重点事業についてご説明いたします。
 県では、毎年、「青森県基本計画未来への挑戦」の推進のため、戦略キーワードを定めており、そのキーワードに基づいた「選択と集中」により、「未来への挑戦推進事業」を実施することとしています。
 今回の戦略キーワードは、
  • 雇用の創出・拡大
  • あおもり型セーフティネット
  • 新幹線全線開業元年
  • あおもり「食」産業
  • 「子ども」総合支援
以上の5つです。

 その内容を説明してまいります。

 最初の戦略キーワード「雇用の創出・拡大」についてご説明いたします。
 現在、本県においては、創業・起業をはじめ、企業誘致や異業種参入などによる雇用の場の確保、そして中長期的な視点に立った良質な仕事の場の創出・拡大が不可欠であります。このため、まず、地域資源を活用した新産業の創出や技術開発による産業の高付加価値化を図るとともに、域内外での取引拡大と販路開拓により、「外貨獲得と域内循環の強化」に取り組みます。
 また、新しいビジネスチャンスにつなげるためにも、「低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興」に取り組みます。
 外貨獲得と域内循環の強化を図るため、
  • 農商工連携、医療・健康福祉関連産業、光技術産業、次世代自動車関連産業 等、地域の強みを生かした「あおもり型産業等の技術力向上、事業化促進」
  • 商店街と地域との連携や事業者間の連携の強化等による「域内連携の強化と新分野進出」
  • 民間企業等の海外取引の創出や拡大に係る支援、青森・ソウル線のビジネス活用を始めとした取引環境の整備など「海外ビジネス展開支援」
  • 「国内外から外貨を獲得するための産業の創出・育成」
  • 未来のものづくりを担う高校生、企業の技術者、創業・起業希望者など、各対象に適した研修の実施や支援体制を構築するなど「産業人材の育成」
などに取り組んでいきます。
 また、低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興を図るため、
  • 再生可能エネルギーを始めとした「次世代を担う環境・エネルギー産業の育成」
  • 「森林整備や木質バイオマス事業の推進」
 さらには、私が提唱し、国からもご理解をいただいている
  • 「環境公共」の推進
などにも取り組んでいきます。

 2つ目の戦略キーワードである「あおもり型セーフティネット」についてご説明いたします。
 「県民が安んじて暮らしていける社会」を実現させるためには、保健・医療・福祉包括ケアシステムをはじめ、医師確保やがん対策、犯罪のないまちづくりなど、多岐にわたる「あおもりの安全・安心」総合対策が必要です。あわせて今般の厳しい雇用情勢に鑑み、雇用のセーフティネットの確保にも万全の態勢で取り組みます。
 安全・安心への総合対策として具体的には、
  • 医師・看護師の確保・育成、必要な時に適切な医療が受けられる医療体制の整備など「命を守る地域医療の充実」
  • がん情報提供システムの構築やがん連携拠点病院の機能強化、さらには、がん検診受診率の向上に向けた取り組みなど「がん対策」
  • 病気にならないための生活習慣の改善・定着の支援、早期に健康課題を解決するための仕組みづくりなど「健康生活の維持・確保」
  • 県民が住み慣れた地域で安心して暮らすための地域のつながりの強化や、交通安全対策の強化など、「安心なまちづくり」
などに取り組んでいきます。
 このうち、がん情報センターについてご説明いたします。
 がんによる死亡者の減少、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向上のため、がん対策を重点的に進めることとしました。がんに関する様々なデータを収集・分析するデータベース機能である「がん情報センター」を構築し、がんに関する正しい知識を県民に普及するとともに、医療機関等が活用できる情報発信を行う、「県民自らががんと戦えるシステムづくり」に取り組みます。

 次いで、雇用のセーフティネットの確保についてご説明いたします。
 現在の厳しい経済社会情勢におきましては、雇用のセーフティネットを確保することが極めて重要です。中高年で退職を余儀なくされた方々や障害者の方々、さらには非正規労働者の方々に関する雇用のセーフティネットを確保するための取り組みを行うこととしております。また、本県の将来を担う高等学校新規卒業者の就職内定率が非常に厳しいことにも目を向けなければなりません。そして、津軽鉄道のトレインアテンダントやあおもり食育コンシェルジュなど、雇用面のみならず地域活性化等の面からも効果を発揮している「ふるさと雇用再生特別対策事業」及び、県立学校への補助職員の配置など「緊急雇用創出対策事業」について、国の交付金により造成した特別基金を最大限活用しながら、引き続き実施してまいります。これらの事業により、約6千人の新規雇用者の創出を見込んでいるところです。
 学卒未就職者や高校生の就職支援については、今春の卒業者に対して、
  • 訓練コースの新設や職業能力開発支援などの「職業訓練」
  • 正規雇用化支援や資格取得支援などの「雇用創出」
  • 県の非常勤職員の高卒枠の拡大など「公的機関での雇用」
などを実施します。
 これらの事業の実施により、約490人の新規学卒者を支援することになります。
 また、在学中の高校生に対しては、
  • 資格取得支援
  • 介護に関する資格取得支援
  • 専門性の深化
などを実施することとしております。
 さらに、これらの対策を実のあるものとするため、
  • 高等学校への就職指導支援員の配置
  • 支援対策の普及啓発
を実施することとしております。
 これらにより、高等学校を卒業して就職を希望する若者が、円滑に就職できるようになることを目指します。

 3つ目の戦略キーワードである「新幹線全線開業元年」についてご説明いたします。
 今年の12月、いよいよ東北新幹線が全線開業します。
 このため、新幹線全線開業に向けて、観光分野のみならず、あらゆる分野で総力を結集し、開業効果の全県的・重層的な波及に取り組むとともに、新幹線の開業効果を一過性のものとしてではなく、長期間にわたり持続的に取り込み、波及させるための態勢づくりに取り組みます。県の総力を結集した観光対策を推進することとし、新幹線開業キャンペーンを柱とした誘客宣伝活動を行うとともに、縄文遺跡群や県立美術館など県内の様々な文化・芸術拠点を活用した誘客促進や、魅力あふれる観光コンテンツの育成強化などに取り組んでいきます。
 新幹線開業キャンペーンについては、今年1月に、プレキャンペーンとして「とことん青森2010in原宿表参道」を実施したところであり、表参道を青森ねぶたが練り歩き、熱狂の渦に包まれたことは記憶に新しいところです。平成22年度はオープニングキャンペーンとして、12月の開業直前の時期において、首都圏を青森県の雰囲気で埋め尽くす「東京ジャック」を展開し、東京都内の様々な場所で、青森県をアピールする事業を集中的かつ多面的に実施することとしております。JRの主要駅での青森県の観光情報の発信のほか、「津軽三味線流し隊」による都内の飲食店等あちこちでの演奏、「青森ねぶた」「弘前ねぷた」「八戸三社大祭」「五所川原立佞武多」の青森四大祭り競演など、首都圏の方々をあっと驚かせる様々な仕掛けを行います。
 また、2011年4月23日から7月22日の3か月間にわたる「青森デスティネーションキャンペーン」は、平成23年度のメインキャンペーンの柱であり、このキャンペーンに向けて、今年5月に全国から多くの旅行エージェントを集め、全国宣伝販売促進会議を開催し、旅行商品の造成等の促進を図るなど、着実に準備を進めます。これらの取り組みにより、東北新幹線全線開業を強くアピールし、本県への誘客促進につなげたいと考えています。
 また、新幹線の開業効果をあらゆる分野に波及させるため、
  • 更なる企業誘致促進のための情報発信や県産品の魅力発信の強化など「新幹線全線開業を契機とした産業振興」
  • 新幹線駅からの二次交通の整備等交通ネットワークの強化を図るとともに、新幹線と航空路線等の立体的活用による多様な観光・ビジネスルートの構築を図る「交通利便性の向上」
などに取り組んでいきます。

 次に、4つ目の戦略キーワードである「あおもり『食』産業」についてご説明いたします。
 人口増加や地球温暖化の影響等により、世界的な食料需給の悪化が予想される中で、食料自給率が100%を大きく超え、しかも品目のバランスが非常に良い本県の農林水産資源は、「本県の強み」として、その価値を最大限に生かしていかなければなりません。このため、これまで推進してきた「攻めの農林水産業」をより強力に進めていきます。
  • 「総合販売戦略の推進」については、農林水産品の輸出や地産地消の拡大に取り組みます。
  • 「儲かる農林水産業の推進」については、土づくりやエリート牛群の作出など、常に販売を意識した「買ってもらえる産品づくり」や、新たな水田農業モデルの実証などに取り組みます。
  • 「農山漁村を支える人づくり」については、農山漁村の女性起業家や意欲ある革新的な若手農業者、今後の地域営農のリーダーなどの育成に取り組みます。
 さらに、
  • 豊富な農林水産資源を活用しながら、農商工連携の強化や技術力の向上等による高付加価値化を図るための「食品製造業の強化」 に取り組み、「食」に関わるすべての産業を一体のものとしてとらえ、その充実・強化を図ります。いわば、6次化を強行に進めていくということです。
 「食」産業の強化を図るための取り組みを紹介します。これまで連携が弱いとされてきた、
  • 原材料を供給する「生産者・生産団体」
  • 加工のための設備や技術を保有する「食品製造業者」
  • 商品を購入したり、最終消費者に提供する「実需者」
  • これらをつなげる「流通・販売業者」
の持つ情報を集約し、一元管理する「あおもり食産業プラットフォーム」を設置し、
  • 連携の掘り起こし
  • 連携のきっかけづくり
  • ネットワークづくり
に取り組むこととしています。

 次に、5つ目の戦略キーワードである「『子ども』総合支援」についてご説明いたします。
 「子ども」を取り巻く環境が厳しさを増している中で、未来の青森県づくりの原動力となる、次代を担う子どもたちを、健やかに産み、守り、そして成長させるための取り組みであります。
 具体的には、
  • 地域で子どもを見守る体制づくりや、子どもを産み育てやすい環境づくりを推進するための「社会全体で子どもを育む体制づくり」
  • 創造力豊かで郷土に誇りを持つ、健やかな子どもを育てるとともに、次代の青森県を担う人財育成を推進するための「未来を担う子どもの育成」
  • 確かな学力の向上に向けたきめ細かな指導を推進し、より充実した学校教育の体制を構築するための「学校教育の充実」
などに取り組んでいきます。
 このうち、子育て支援について説明します。出生率が低下している中において、「子どもをこの青森の地で産み育てたい」という県民の皆様方の願いを実現するため、社会全体で子どもを育む体制づくりに取り組む必要があります。
 そこで、
  • 安心して子どもを産み育てる環境整備
  • 地域が子どもを見守る環境づくり
  • 子どもを虐待からまもるための相談支援体制の強化
のほか、
  • 保育所の緊急整備
  • ワーク・ライフ・バランスの推進
など、子どもの成長や育児の状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、様々なサービスを活用しながら子育てを楽しめる環境づくりに取り組むこととしています。これらを通じて、県民の皆様が「子育てに希望と喜びを」感じていただけるような、青森県づくりを目指します。

 最後に、地域別計画の推進についてであります。
 各地域県民局が、それぞれに地域の特長を生かし、地域別計画推進事業を実施します。
 また、各市町村によるキラリと光る取り組みに対しては、各地域県民局が「創意と工夫が光る元気なあおもりづくり支援事業」により、補助金を交付することとしております。
 主なものをご説明いたします。
 まず、東青地域県民局であります。平成21年度は、太宰治生誕100年ということで様々な取り組みを実施してまいりましたが、平成22年度は初代高橋竹山の生誕100年を迎えることから、これを契機とした積極的な誘客活動などを行うこととしております。
 次に、中南地域県民局であります。既に「津軽料理遺産」など「食」を中心に据えた取り組みを進めてまいりましたが、平成22年度は、ひそかなブームになっており、原宿でも好評だった「ホットアップルサイダー」の普及などに取り組むこととしております。
 次に、三八地域県民局であります。三八地域では、環境・エネルギー産業の振興に力を入れているところですが、平成21年度に引き続き、この分野の関連技術等の活用促進などに取り組むこととしております。
 次に西北地域県民局であります。平成21年度は、「太宰ミュージアム」など太宰生誕100年に関連した事業等に取り組んできたところですが、平成22年度もこれらを継続するとともに、五所川原駅前の通りを歩行者天国にして、軽トラックを並べて市を開催するという「軽トラ市」の開催などに取り組むこととしております。
 次に、上北地域県民局であります。上北地域においては、本県の新たな農業経営のあり方について、様々な調査研究を行ってきたところですが、来年度はそれらを実践に移すための取り組みなどを行うこととしております。
 最後に下北地域県民局であります。下北地域においては、比較的近隣県からの来訪客が多いことから、(平成22年度は)これら近隣県における観光・物産品等の情報発信などに取り組んでいくこととしております。

 以上のように、戦略キーワードに基づく事業、地域別計画の推進のための事業に加え、国の交付金等も最大限に活用しながら、経済的基盤の創出・拡大が図られ、輝いて生きられる社会、暮らしやすさが守られ安んじて生きられる社会、生活創造社会の実現に向けて、全力で取り組んでいきます。

 最後に、第66回国民体育大会冬季大会スケート・アイスホッケー競技会の受け入れについてご報告いたします。
 当大会につきましては、日本体育協会、文部科学省等からの開催要請、また、地元関係者からの要望を受け、関係自治体や競技団体の御意見を伺いながら、開催の可否について検討してきました。
 その結果、地元の関係者が受け入れ体制を整備することは、十分に可能であると判断されること、さらには、本県で開催することは、今年12月の東北新幹線全線開業を国内に強くアピールする絶好の機会になると考え、開催を受諾する決意をいたしました。
 本大会を、東北新幹線全線開業の記念と位置づけ、本県の魅力を全国へ発信したいと考えています。
 以上であります。

○記者
 実質的な元金ベースでのプライマリーバランスが3年連続で黒字化となった一方で、臨時財政対策債が過去最大に膨れあがっている、この点についてはどのように考えていますか。
 また、予算編成のあり方についてですが、マニュフェストを掲げて県政運営をする知事がいる一方で、三村知事の場合は方向性が見えにくいという指摘をする人もいますけど、知事は県政運営を具体化させる上で、どのように予算に方向性を反映させていますか。

○知事
 まず臨時財政対策債の話についてですが、本来交付税で全部いただければ何の問題もないものであって、これまでも話をさせていただいたとおり、国の方からは交付税と同等に扱ってくれということで、この形となっているものであります。我々とすれば交付税の形でいただければお互いにすっきりとするものだと思っています。
 県政の運営にあたっては、何よりも産業・雇用施策等を含めて、今回も特にお示ししたとおり、「選択と集中」でその年の重要案件、重要項目をしっかりとお示しし、単年度ごとにはそうしているが、産業・雇用施策、あるいは保健・医療・福祉包括ケアシステム等を通じた、命を守る仕組み、社会保障の仕組みであるとか、県政にとって重要な課題について、知事選等でお約束した柱に沿った県政運営と予算編成をしっかり進めています。

○記者
 今回の予算編成は政権交代後初めてでありましたが、政権交代に絡んで特に配慮した点とか、従来の予算編成と比べて異なった点がありましたらお願いします。
 本県にとって新幹線全線開業という大きな節目の年となるわけですが、予算編成にあたってはどのような考えで取り組んだのか、また選択と集中は例年以上に徹底されたのでしょうか。

○知事
 東北各県も意を用いたようでありますが、本県にとっても重要な、いわゆる公共投資という部分が現実に経済を動かしているという、非常に大きな役割もあるわけであります。また基本的な基盤整備という部分については、私どもの地域はまだまだというところがあるからこそ、市町村を含めて様々な方面から要望が多い分野でもある。(公共投資が)急激に減るということについては非常に大きな経済上の、具体的な数字としても、大きな影響があるかと思いますが、これを可能な限り小さくとどめるためには相当の意を用いた、最大配慮したということになると思います。
 従来と異なった点は、様々な仕組みが変わる、具体的に法律や条例上、具体的にどのように変わるかということがなかなかつかめなかったということがありまして、そういった点は予算編成にあたって担当部局は本当に苦労したと感じています。
 新幹線全線開業について、これは我々にとりまして大変大きなチャンスでありますし、スキームによって投資もしているわけでありますから、どれだけこれを本県経済にプラスに、観光・経済というだけではなく、起業や企業誘致、県の全体イメージ戦略ということについても最大限に活用する、積極的に活用するという予算を編成したという思いがあります。
 選択と集中ということについては、徹底したということでご理解いただきたいと思います。また、徹底しなければ今回の「食産業」のような組み替えての新しい分野に取り組めないわけでありますし、選択と集中についてはしっかりと努めさせていただきました。

○記者
 今の関連なんですが、具体的に新幹線の予算として、観光対策約8億円、波及分として約62億円ほどで、約70億円を計上したわけですが、予算の制限がある中で、約70億円という額そのものについては知事はどのように評価されているのか。限られた予算の中では精一杯やったということなのか、それとももっと計上したいものがあったという感じなのか。

○知事
 それは、(財源が)潤沢であれば皆さんにやってもらうことはできるのですけども、やはり、我々として可能な限りのところで、いかに大きくキャンペーンその他を行っていくかということで。ただ、我々だけがやるのではなく、JRさん、旅行各団体も含めて、それぞれに東北新幹線全線開業には期待するところ、期するところがあります。お互いに出し合い最大の相乗効果をあげていきたいと思う次第でございます。
 普段、大変に(報道)各社とも新幹線につきましては、いろんなヒントを含めて県外に対して例えば東京版で青森ではこういうことが行われているとか、(情報発信をしていただき)、本当に大変感謝しております。

○記者
 政権交代後の初の予算編成という意味においては、特に地方交付税のことを伺いたい。税収減が続く中で、増額方針ということに助けられた部分があるということですが、これは、臨時財政対策債というのが大部分を占めるかと。地方交付税の配分枠について評価を伺いたいと思います。

○知事
 実際にですね、臨時財政対策債を含めても、本体の方でも増えたというわけですから、増えたということについては、これまでの地方六団体として様々な活動をしてきたことに対しての一定の答えかと思います。
 しかしながら、我々とすれば、やはり、(平成16年度のいわゆる地財ショックで)大きく12%の減額があり、さらに毎年数%ずつ減額されてきているわけですから、更なる増額ということではなく元に戻していただくということに対しては、これからも六団体一緒に行動していくことになると思います。

○記者
 子ども総合支援ということで説明がありましたが、交付税など限られた予算の中で部局間連携など、どのようにつなぎあわせて相乗効果を出していこうと考えていますか。
 関係機関だけではなく県民、産業界を巻き込んだ社会的・産業的な取り組みに対する今後の考え方をお聞かせください。

○知事
 子育て支援、現場からの声は、とにかく働く場、雇用の部分をしっかりさせることが、青森県の場合、一番肝心な部分であることを、保健師さんとか現場の方々から言われます。
 したがって、産業施策そのものの中においても、例えば企業の誘致等の場面においても、コールセンター等も含めて、いろいろな形で勤めやすい職場というものを積極的に誘致するということ等も進めてきているわけでございます。
 そういった大きな産業・雇用、働く場があってこその子育て支援だという現場の声等を受けながら、部局横断ということになりますと商工と健康福祉とがどうつながるかということになると思いますが、もちろん県民局も絡んでくるわけですが、私どもとしては、それぞれの部局において、今一番大切な次世代を担う子ども達がこの青森で治安等も含めて健やかに伸びやかに育っていける仕組みづくりについて、提案している予算、推進する施策が相乗的に効果を上げることを期待しています。

○記者
 具体的にどのような相乗効果、未来への投資として期待しますか。

○知事
 例えば、コミュニティがうまく再生できればと考えております。昔は地域力の中で子ども達が育ち、また、地域力の中で安全・安心というのも確保できたと思っております。地域のみんなが地域の宝としての子どもを大切にしていこうという仕組みがありました。細かい予算ですけどもそういった地域ネットワークを連携していこうということ等も段取りをさせていただいたという思いがございます。
 医療的な部分では、周産期センターを中心に、健康づくり、最終的には福祉に至るまで、どういう状況であっても、しっかりその命を支えていきたい。親御さん方から、非常に多くの話があり、自分たちが年取った時にどうなるんだということにならない様なシステムづくりをすることも進めさせてもらいました。これはまさしく部局どころか地域も含めて全体横断的な施策として、国等においても非常に青森の新しい提案として評価いただいたものと考えております。詳しくは後で担当部の方に確認してください。

○記者
 三村知事が就任して初めてのプラス予算ではないかと思いますが、その点に対する評価をまず一点お伺いします。

○知事
 実際は横ばい。(対前年比)0.2%なので。これまで4,000億円の財源不足額を解消し、とにかく財政規律を心に置きながら、やっとここまできたというところです。
 県債も臨財債を除けば圧倒的に減ったわけだし、基金の取崩しも半分以下になったわけだしということで、我々としても行財政改革について大努力を続けてきた結果、この数字(になった)というところだと思います。

○記者
 大努力を続けてきた結果が、プライマリーバランスは3年連続黒字ということなのですが、企画政策部の予算に県立屋内スケート場建設多角的検討事業費が盛られております。知事は就任以降、行財政改革を進めるに当たって大型の施設建設は凍結されたという経緯がありますけれども、その凍結は解除ということでよろしいでしょうか。

○知事
 希望の灯は消えていない。去年と同じで帯広(の屋内スケート場)のランニングコストとかその他調査など、そういったことを、しっかりと確かめましょうという八戸市と協調した予算です。

○記者
 舵を切ったということではないのですか。

○知事
 舵は切っていません。希望の灯は消えていないということです。

○記者
 その舵には変わりないということですか。

○知事
 去年と同じ調査です。いろんなことを調査してみようというのを去年からやっている。それと同じで継続して、向こう(帯広)が一年やってみないとわからないということだから、いろいろ具体に調べなければならないということ。

○記者
 子育て支援の関係なのですが、子ども手当の開始に伴って県負担が1億円くらい増えるのではないかということがありまして、それは今後、国の交付金で補てんされる予定となっておりますが、詳細は明らかになっていません。
 知事としては、地方負担が発生しないような形で国の政策の実施を訴えてきたと思うが、新たな負担が増えることに関する考えと、今後、国に求めていくことがあったらお願いします。

○知事
 子ども手当分については、地方に絶対に迷惑をかけないと言い切っている訳だから、大丈夫でしょう。

○総務部長
 上乗せ分は国から交付金がくると聞いてます。

○記者
 先程、公共事業の大幅削減のお話がありましたけども、これから先も公共事業はなかなか増えていくことは考えにくい状況なんですけども、産業構造の転換等、今回の予算で知事が意を用いた部分、あるいはこれからやっていきたいと考えている部分を教えていただきたい。

○知事
 我々もその分野については、知事就任以来、毎年現実に、一次産業、食産業、あるいは福祉関連も含めて、転換していくべく、急激には無理だということで、徐々にという方向で、我々としては縮減を進めて来たんですけども、今回、相当急激だったということについては、やはり、地域経済においてはある日突然バタリといく分野がでてくると、そのことによって、数多くの、より多くの、廃業、商売をやめてしまうとか、そのことによる失業とか、あるいは、企業が、建設業が立ち行かなくなって、廃業する会社、なくなってしまうことによっての雇用不安と、産業が、要するに稼げていたところが突然稼げなくなるという形を避けるための、段取りを進めて来たという思いがありますので、国としても、いわゆる、実情に合わせた、産業構造を変えていく、具体の方向性ということを、我々と一緒に話をしていただいて、進めていただければと思っています。

○記者
 来年は新幹線開業とマッチするので(冬季)国体の開催を受け入れるということですが、国体の受け入れ先がなかなか決まらないという現状がある中で、青森県に何度も何度もお願いするというきっかけになるというおそれもあると思います。この辺はどうなのでしょう。もう今回限りだという強い意思なのでしょうか。

○知事
 皆さんの目の前で話しましたけれども、一昨年(の要請の時)も、ローテーションが早かったので、「ローテーションをちゃんと作ると言ってたんだから、今度こそ作ってください。」ということを繰り返し申し上げたわけでございます。それはもうやっぱり守ってもらわなければと思います、今度こそ。

−以上−
(記録:財政課)

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