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平成17年8月 定例会見/庁議報告ほか

会見日時:平成17年8月2日(火) 11:30 〜 12:10
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○幹事社
 おはようございます。
 8月の定例記者会見を始めたいと思います。
 それでは、まず、今朝の庁議の内容について報告いただきたいと思います。

○知事
 庁議の方からは2件、アスベストとお祭りのことについてお話させていただきます。

 まずアスベスト問題に係る対応についてであります。
 本年6月下旬以降、アスベストによる中皮腫等の健康被害が大きな社会問題になっており、県民の方々からも相談、問い合わせ等が寄せられております。
 現在、県内にはアスベストを含む製品の製造工場、事業所はありませんが、県民の安全・安心確保のため、アスベスト問題庁内連絡会議を7月の14日に設置し、この問題に対処してきております。
 県内における使用実態については、国土交通省の依頼により民間建築物について調査している他、公立学校等についても、昭和62年当時に調査を実施しておりますが、文部科学省の依頼により速やかに調査に着手することとしております。
 また、県民が利用する県の建築物等についても、調査等を行う予定としております。
 県としては、国の動向も踏まえつつ、アスベストの使用実態の把握に努めるとともに、県民の安全確保を最優先に、その対策に万全を期すこととしております。
 本日、3回目の会議を開くということで、その他ご質問あれば担当部長の方からいろいろお話しできると思います。

 それから、主な夏祭り等の雑踏警備の実施につきまして、県警本部長から報告がございました。
 青森ねぶた祭りでは、ご存知のように過去において「カラス族」と呼ばれる若者による傍若無人な不法行為が全国的に報道されるという苦い経験がございました。その後、関係者の皆様の並々ならぬご努力によりまして正常化が図られてきております。
 しかし、完全に「カラス族」が排除されたというわけではないようでありますし、「五所川原立佞武多」にも「カラス族」が出没しているとも聞くところであります。
 「カラス族」の排除等については、県警察や関係者任せにすることなく、何卒県民の皆様方もそれぞれの立場で祭り健全化を実現するための取組をしていくことをお願いしたいと考えております。
 関係者の皆さん、そして全ての県民の御協力により、安全で安心して楽しめる夏祭りにしていただきたいと考える次第であります。
 庁議関係からは、以上2点です。

○幹事社
 ありがとうございました。
 それでは代表質問の方に移らせていただきたいと思います。
 まず1点目です。日本原燃の使用済み核燃料受入貯蔵施設の水漏れ問題で、日本原燃は保安規定に追加する今後の漏水時の運用ルールの中に、1時間当たりの漏水量が10リットル以下の場合は操業を停止しないで、経過観察しながら漏水個所の特定、補修作業を進めることを検討しています。この内容で、県民の安全・安心が確保できるとお思いか、知事の見解を伺います。

○知事
 1点目でありますが、今回の漏えいの件につきまして、私は去る7月12日に松永原子力安全・保安院長に対して、また7月25日には中川経済産業大臣に対して、日本原燃株式会社の報告書の妥当性についての評価とその結果の報告を含め、責任ある対応を強く要請したところであります。中川大臣からは、今回の件を重く受け止め、国の評価、地元への説明をきちんと行い、最終責任者として厳しく対応していく旨の回答があったところであり、私としては今後とも国及び事業者の対応状況を厳しく見極め、安全確保を第一義に慎重に対処してまいります。
 なお、日本原燃株式会社は、「漏えい量の多少に関わらず、全てを補修する」とのことですが、同社の説明が十分でなく、誤解を与えたことは誠に遺憾であります。
 これまで同社に対して機会あるごとに県民の皆様への情報提供を行うよう要請してまいりましたが、改めて自らの責任を十分自覚の上、適時・適切かつ分かりやすい対外説明を行うよう強く要請したいと思うところであります。
 1点目、以上。

○幹事社
 2点目、お伺いします。
 東京電力などがむつ市に建設を計画しております使用済み核燃料中間貯蔵施設について、県は県議会各会派からの意見書の提出、29日で締め切りましたけれども、立地判断に向けた今後の手順、判断の時期等について所見をお伺いします。

○知事
 使用済燃料中間貯蔵施設につきましては、これまで県議会議員全員協議会、市町村長会議、青森県原子力政策懇話会及び県民説明会において、ご意見等を伺い、さらには、新たな原子力施設の立地であることから、「使用済燃料中間貯蔵施設についてご意見を聴く会」を開催し、私が直接、県民の皆様からご意見を伺ってきたところであります。また、去る6月30日には、県議会各会派等に対しましてご意見の取りまとめをお願いし、その結果が7月29日までに示されたところであります。
 私としては、今後、県内各界各層からいただいたご意見等を踏まえ、慎重に手順を踏んで参りたいと考えており、現時点では、立地の判断時期について申し述べる段階にはないものと考えております。
 いずれにいたしましても、使用済燃料中間貯蔵施設の立地協力要請については、県民の安全、そして安心に重点を置いた対応の観点から、安全確保を第一義に慎重かつ総合的に対処して参りたいと、そう考えます。
○幹事社
 アスベストに関する健康被害問題、次の質問に予定していたですけれども、先ほどのご報告の中で触れていただきましたので割愛します。
 最後の代表質問ですが、農林水産省が米国産リンゴの火傷病検疫措置を緩和する方針なんですけれども、火傷病対策に関する予算措置を含む県の今後の対応をお尋ねします。

○知事
 今回、米国産リンゴ火傷病の検疫措置について、WTOから検疫制度を緩和するよう日本政府に勧告されたことは、これまで以上に火傷病が我が国に侵入する危険性が高まったと言わざるをえず、日本一のリンゴ生産量を誇る本県にとっては誠に遺憾な結果となりました。これまた、たびたび繰り返しておりますが、バラ科の種目全体について言えることだと思っております。
 WTO最終報告を受け、6月29日、私自身が国に赴き、火傷病の侵入阻止に向けた体制強化や、万が一侵入した場合に国が責任を持って完全防除や被害園地の再生復興に取り組むよう要望してまいりました。また、県議会や関係団体からも同様の要望がなされたところであります。
 今後は、国が設置を予定しております「火傷病研究連絡協議会」に参画し、生産現場からの具体的な侵入防止策等について提案していくとともに、県内の火傷病発生調査や診断技術の習得、弘前大学等との試験研究面での連携、米国産リンゴの店頭でのモニタリング調査の実施等についても検討していくこととしております。
 具体的な内容については、今後の日米二国間協議の結果や研究連絡協議会での方針を踏まえて詰めていくことになると考えております。
 また、消費者にも外国産リンゴではなく県産リンゴをこれまで以上に支持してもらえるよう、流通販売面からもバックアップするため、高品質で安全・安心な青森県産リンゴの生産強化や消費宣伝活動等の充実に努めていくことにいたしております。
 とりあえず以上です。

○幹事社
 ありがとうございました。
 幹事社からの代表質問は以上です。
 それでは各社からの質問を受けつけたいと思います。

○記者
 プール水の漏えい問題につきまして教えて下さい。
 今、知事のお話にもありましたけれども、県とすれば原燃が提出した報告書を国がまず妥当性の評価の作業をしている途中だと、その妥当性の評価が終われば、県に報告に来るという段階になると思うのですけれども、その段階で、例えば県議会や市町村長などの意見を聞いて、原燃の対応策について協議するお考えはあるのでしょうか、というのが一つと、もしそういった形でご意見を伺われるのならば、その伺った意見というのはむつ市に計画をしている中間貯蔵施設の判断にリンクしてくる可能性はあるのかということを教えてください。

○知事
 報告内容について、いずれ報告があるということになるわけですけれども、内容を検討してからの報告を受けて、どういった形でのお話しになるのかということによって対応がまたいろいろと出てくると思っております。
 中間貯蔵とのことでございますが、たびたびご質問をいただいているのですけれども、それは確かに別個のものではありますけども、それは全体としての私ども総合的判断ということを常々申し上げているという状況でありますので、ご拝察いただければということで同じお話とさせていただきます。

○記者
 ありがとうございました。

○幹事社
 その他、質問はございますでしょうか。

○記者
 アスベストの関係についてお尋ねします。
 今のところ、県内でアスベストを製造事業所はないということで、直接的な被害はないわけですけれども、広がっている県民の不安のために知事はどのようにお考えなのか。
 あともう一つは、国が以前に被害を知っておきながら必要な法的措置を取らなかったということが明るみになっていますけれども、国の政策に対してのお考えを。

○知事
 私どもとすれば、今、調査にこれから入ると。いわゆる、建築物、構造物と言っていいかどうか、建築物等について調査に入るという形になっております。
 従って、調査してその結果からきちんとまたいろいろな形において広報していく、あるいは昭和62年段階で相当撤去補修しているはずです。除去、すいません、言葉をそのように訂正させていただきますが、そういうことをしているということも含めてお話する中において、是非安全・安心についての対応をしていきたいと思っております。
 国につきまして、報道等で知る状況ではございますが、非常に危険な状況というものが露呈されたということをその段階において適切にいろんな、いわゆる我々地方自治体等のみならず民間の方々に対してもきちんとした説明を果たしていただけなかったことは残念なことであるわけですが、今回、国としてもそういった観点から、今月中には過去の対応についての検証をきちんと行っていくということでございますので、その検証につきまして私どもも伺いたいと思う次第です。

○幹事社
 その他、質問、ございますでしょうか。

○記者
 有料道路の、青森中央大橋の件ですけれども、まだ対応については検討中だと思うのですけれども、債務がかなり大きくなって残る状況にありますけども、責任というものをどう考えるかということで質問なんですけれども。

○知事
 確か、2ヶ月前にも同じことを。3ヶ月前だったか。お話ししたと思ってるんだけども。

○記者
 計画そのもの、予定台数に達しない計画を立てたその人たちにもある一定の責任はあるのではないかなと思うのですけれども、最後に処理する人が苦労すると言うか、判断を預けられてしまうと。行政の責任というのを、どういうふうに取れば責任を取ったことになるのかなあということで、非常に考えるのですけれども。中間貯蔵は50年先、中央大橋の場合は20年前の話。県というのが20年前の責任に対して、今誰が責任を取れば責任がとったということになるのか。言葉では難しいんですけれども、知事として責任のとり方というのをどのように考えているかというところを。

○知事
 確かに、20年前のことで今どうこうしろと言われると、またそれはそれで言いたいことも出てくるわけですけれど。その時に、いわゆる交通量の伸び、非常に経済のいい時代であったわけですし、市内におけるところの交通が非常に頻繁になってくると。また、線路を挟むということはご存知のとおり、どこでもそうですけど、線路を挟むということはその地域全体の交通体系のみならず地域づくりと言うんですか、街づくり計画にとってもいろんな阻害になるわけですから、当時の判断としてはこの形、要するに、最も早く事業としてやることができる有料道路を選択したんだと思います。
 じゃあ、公共投資、いわゆる公共事業枠でやって、ものすごく長い年月をさらにかけて、ご存知公共事業枠でやると年次計画で少しずつ少しずつになるわけですから、事業効果を発揮させることが遅くなると。その利益、損得をどう考えるかということになるんでしょうけれども、当時として県及びご判断いただいた県民を代表する県議会を含めて、当時としての最良の判断であったというふうに私どもとすれば受け止めざるを得ないと思うんでございます。
 ですから、常にいろんな事業を進めていくに当たって最も、利益といっても金の話でなく、公共としての利益としてどうあるべきかということを念頭に事業をいろいろやっていかなくてはいけないなと思ったわけですが、常にそういうことを考えながら我々とすれば仕事をしなくてはいけないんだろうなと、そう思います。

○記者
 予算対応ということも考えられると思うんですけれども、やっぱり枠としては道路予算の枠内で考えるという考え方でしょうか。

○知事
 全体ということになるんだろうけど、どちらにしても何か用意しなければいけないのは確か。
 若干詳しい、技術的な観点、総務部長。

○総務部長
 今のお話、財源のことかと思いますけれども、ちょっとどういう対応を取るのかは財源も含めてそれは今後の検討になります。検討します。

○記者
 ありがとうございます。

○幹事社
 その他、ご質問。
 はい、どうぞ。

○記者
 ITER誘致については、今回はフランスに持っていかれたということで、青森県としては残念な結果になったわけですが、これに代わる形として、自民党県連などで勉強会を始めて、大型線形加速器というふうな国際プロジェクトで、建設費は5000億円くらいかかるということで、また大きな夢を追いかけようといいった風潮が浮かび上がってきているようなんですけども、こういう動きに対して、いつまでも夢ばかり追いかけてないでもうちょっと地道な身の丈にあった地域振興策を進めた方がいいんじゃないかという批判も一部にはあるわけですけれども、そういう線形加速器の誘致に向けた動きに対して、知事はどういう風な考えをお持ちでしょうか。

○知事
 突発的な話でしたのであれですけど、事務方で情報収集を行っているという程度の状況ですね。
 私どもも、非常に大切なことは、地道な努力の積み重ねこそがやはり最終的に成果を生むことだと思っているわけでして、ご存知のとおり、液晶の関係にしても二つ目が出てきましたけれども、その方々を導くためには産学官の研究の体制とか、日本でも最高水準のクリーンルームというものを設備したりとか、あるいは今、再生可能エネルギーについての、現実最先端を走っていると思っているんですけども、そういった仕組みを示すことによって企業導入、合弁する方とか進出する方を図る部分であるとか、静脈物流についても相当テコ入れして、これに具体の絵が、具体の仕事が発生してくるような状況にもなっていますし、また津軽平野全般に非常に最先端の技術が蓄積されているわけですから、これをどうマッチングをうまくして、さらに企業として育て上げていくか。あるいは、人づくりについて非常に力を入れているのはご存知だと思いますけれども、そういった先端関係のことに対応できる人材を今改めてこつこつと整えているという状況が有るわけです。
 例えて言えば、医師確保問題で例えれば一番分かりやすいんですけれども、今年27人だか26人だか、私どもが要するに奨学金制度等を含めて確保できた、例えば1・2年生いるとして、効果が上がるのは8年後、10年後ということになるわけです。しかし、その傍らで、私どもとすれば、企業誘致に対応するものとすれば、東京、名古屋、大阪、博多に応援組織を作って直接医師を確保できる仕組みを作ってそれも回している。短期的・中長期的なものをきちんと考えて進めていくということを県知事に就任いたしましてから各部局に指示し、こういった物づくり産業を集積していく分野のためには、やはり技術とその底を支える基礎技術の蓄積が大事なわけですし、そのためには人材の大切さということがあるわけですから、要するに、かなり非常に細かく地道に蓄積をしていく。人と技術に対応するべく共に組んでくれる産学官金融といつも思っているんですけど、そういった部分に対しての対応のお願い等を含めて手広く地道な努力をしているという考えがあるんですけれども。
 どちらかといえば、皆さん方の方がこういう派手なものをとにかく取り上げられているんじゃないですか。私どもはかなり細かく地道に、笑われるかもしれないですけど、知事室にローカルテクノロジーを展示して、今、展示替えになりましたけども、お訪ねいただいたお客様とかいろんな方々にお話しし、その中から何か一緒に仕事できないかとか、そこまで地道にやっているということ。たまには知事室のローカルテクノロジー、とてつもない、私ども的には技術だと思うんですが、取材して頂いてお書きいただいて、そういった先端企業が本県にあり、いろんな合弁先を求めているんだと、コラボレーションを求めているんだということで、共に青森県の仕事づくりにお力添えいただければ、むしろ大変ありがたいと思います。よろしく力を貸して下さい。

○記者
 県内の有効求人倍率、6月までで36ヶ月、いわば3年間全国最低になりますが、知事が就任されて2年になりますけれども、雇用の改善というのを公約に掲げていたと思いますが、これが全国最低を続けているということについてのお考えをお願いします。

○知事
 忸怩たる思いがあるわけですけれど、ただ、数字としても、コンマ31レベルからコンマ39、40まで来たということはあります。
 それと、私も、新聞記事で読んだのをいうことは何ですけども、実際の数字はバブル以降とすれば一番実求人数は伸びているという状況ではあるようです。それにしてもこういう状況を続けているということは忸怩たる思いがあります。
 であればこそ、先ほどお話したように非常に地道なところから含めて仕事づくり等々を心がけてきたわけでございますし、その成果としてと言っていいのか、あるいは国全体が良くなっているからだろうということはあるかもしれないのですが、コンマ3の中でも非常に低い水準から、要するに一時はコンマ41まで行きましたか、そういうところまで、言わば10ポイント伸びてきたということは事実として是非受け止めていただければありがたいなと思っています。各部局とも常に雇用に繋がるように、例えていえば、今朝庁議でも公営企業局とも話をしました。公営企業局ですら、例えば切符を切ったりとか、いろんなことをする方々についても、なるたけ雇用が発生するような仕組みで何か考えられないかと。非常にそういった、今まではそういった分野まで配慮いただけなかった、配慮しなかった部局の担当者であってもそういった仕事づくり、仕事おこしをしていこうということを県庁一丸となって今進めているという事実はあります。
 従って、今後共努力しつづけていく、現実に上向きに来ているわけですから、さらに上向きに持っていくと。ただ、青森県の実態として、求人数が増えると、実際に求職する人もぐっと増えるという統計学的問題、それは前々から労働局がいつも言っているんですけども、そういう部分があるわけです。
 従って、数字に一喜一憂することはとは思うんですけども、それでもやはり全国最低ということを書き連ねられると、やはり自分としては非常に辛いものがあります。
 しかし、10ポイント伸びたということは、事実じゃないですか。ありがとう。それだけは確認しておいてください。

○記者
 それに関連して、日銀の青森支店がまとめたリポートの中で、県内に就職の場が無ければ、県外に出て他流試合をしてこいというような提案をまとめました。県内の力が一時落ちるとしても、一旦県外に出てUターンしてくればいいんじゃないかというような提案がありました。これについてどう思われますか。

○知事
 思い切ったご発言であるなと思います。
 であっても、考えてみれば、確かに今本県で、本県出身者でいろんな産業、商売を起こしている人たちは、武者修行と言うんですか、他流試合をしてきて、なおかつ、その持った技術に、いわゆる財務を覚えて、経営管理全般を覚えて、帰ってきて、商売、仕事を起こすということが非常に本県の場合多いということも事実です。というのは、基礎技術が本県には蓄積されていないわけですから、さらにいろんなことを学ぼうと思えば、どうしても最先端の部分については外で武者修行、海外も含めてですけれども、ということがこれまでもあってきたわけですし、そういった部分を捉えていただいてのご発言かなと思っています。
 ただ、私どもとすれば、やはりそれでも可能な限り、誰もがトップ技術者として起業、自分で商売を起こすことができるわけではないわけでございますから、基本的には細かい努力、地道な努力をしているわけですけども、今後共県内における仕事づくり運動ということを続けていきたいと、その思いにあるわけでございます。
 繰り返しになりますが、その成果がとりあえず10ポイント、有効求人倍率が低下していたのを上げてきたということはあるのではないかと思っていますが、さらに努力をしていきたいと思います。
 清水さんのお話しは、エールを送っていただいたと、よくあるチャレンジャー出て来いというエールであるというふうにむしろ受け止めることが私は正しいのかなと思っています。本県の場合、過去においてもそうでしたし。

○記者
 今の質問に関連するんですが、有効求人倍率、一番改善しない最大のネックになっている部分は、知事はどの辺にあるとお考えですか。先ほどは、まず統計上の問題とかいろいろありましたけれども、その辺の認識をうかがわせてください。

○知事
 要するに、物づくり産業の基礎的な部分、町工場群とかの集積、技術集積とかチャレンジ意欲の集積、そういうものが、大変恐縮なことなんですが、戦後と言っても60年経っていますけれど、戦後数十年においてやはり不足していたと。要は、他地域であればいろんな形で、北上、大田区の町工場がどんどん出てきましたけれども、行われていなかったということがあるんでしょうけれども。
 しかしその背景としては、基本的社会基盤の整備が本県においては著しく後発、後に回されたと。本来、日本の国がヨーイドンで平等で競争をしていくのであればそういった、仕事を起こすに当たって、一通りの基礎的なものが蓄積されてこなかったという部分があると思います。
 考えてみれば、戦後の日本の復興において労働力の調整機能の役割を果たさざるを得ない形で、北海道・東北っていうのはあったのかなということをつらつら思っています。要は、景気がいい時はワーッと労働者として働き手として、金の卵として行って、何かおかしくなると公共事業という形で枠をつけられて、とりあえずしのいでいろ、そしてまた良くなればワーッと行って、というんですか。
 要は、この国の発展の労働力であり、今はエネルギーであり、食糧であり、水資源であり、基礎を提供し続けてきた、この国を本当に皆支えてきた。しかし、その割にはこの国から、全体として評価されずにきた部分があるのかなということが非常に寂しく思っています。
 しかし、我々は21世紀において環境、水資源、食糧、エネルギー、絶対的に優位に立つわけですから、こういった資源をどう生かせるかと、地域力をどう生かせるかと。そのための人ですね。人とまた基礎的な、農業も技術ですし、いろんな部分がテクノロジーということに関連するわけですけども、そういったテクノロジーを、それぞれの個人個人に持っていただけるか、その仕組みをどうしていけるかということが大きな課題。非常に長い時間がかかる話かもしれないんですけども、長い時間かけてこうなったんですから、長い時間をかけてまた取り戻していくということを施策として細かく打ちつづけているつもりでございます。

○記者
 先ほどのリニアコライダーについてお聞かせください。先ほどの発言は、慎重に考えたいということだと思いますが、これから文部科学省が日本として手を挙げることになれば、仮定の質問で答えにくいかもしれませんが、仮にその場合は青森県としても誘致の可能性を検討するんですか。また名乗りを上げるということもあるのでしょうか。

○知事
 情報を収集している段階で、地盤など我が地域の条件がふさわしいのか、分からない状況です。非常に立地条件が厳しいんでしょうというところはあると思います。

○副知事
 いろいろ資料を集めているところでございますが、元々東北では、岩手県が立候補しておりました。ただ、これは花崗岩という堅い岩石でないとなかなか難しいということでございまして、むつ小川原地域は花崗岩ではございません。凝灰岩です。それから30キロから40キロ、まあ40キロ、50キロ取れるかということになりますと、今の試算では22キロぐらいしかいかないんではということもございまして、そういう面からも。
 昔、岩手県が立候補するということで、青森に協力を求めたという、遠い昔の話でしょうけれども、そういういきさつもございますので、その辺を総合的に勘案しながら考えていかなければいけないなと、こう思っております。
 いずれにしても、今、12地、候補に上がっているわけですけれども、その中で40キロ以上取れるというところは少ないので、30キロということであれば何個所かあるわけですけれども、少なくともそういう条件に合致しなければ立候補しても意味がないわけでございます。
 もう一つ、文部科学省においては、現在茨城県に加速器を作っている最中でございますし、また、そう簡単にこれが具体化していくというのは難しいんじゃないかということもございますので、今、いろいろ情報を集めておりますし、自民党の政調、非常に真に勉強をしているところでありますから。これからも、いろんな資料を集めながら、そういう客観的な情勢について青森県としてどうするか、おそらく議会の議論も含めて、それから議論されていくものではないのかと。
 さっき言ったように、花崗岩でなければならないという、それからアメリカが非常に強い立候補宣言をしているということもございまして、それから50キロということになるとなかなか日本の中では取れないということもあると思います。その辺も含めて今後の検討です。

○記者
 いつも政局の話を聞いて恐縮なんですけれども、今日、参院の郵政の問題で議論しておりまして、県議会の方では意見書を出しています。知事として、今のところ郵政民営化についてどういうふうにお考えかと。あと、小泉さんは否決されれば解散すると言っていますし、自民党内でも解散は筋に合わない、政治的空白を作るべきでないと。もし、おっしゃることができるのであれば、その点について所感をお願いします。

○知事
 前、この問題については、ちゃんと公聴会に出て、堂々と論を張ったつもりだけれども。

○記者
 もう一度、今ちょっと状況がこうなものですから。

○知事
 町長もやっていたわけで、その際、郵政の事業、地域との連携、地域づくりという中において果たしている役割ってものすごく重いものがあるっていう主旨で公聴会、あの場で話をさせていただいたわけです。私としては、自分自身は衆議院議員のとき総務委員でしたから、公社化については、そういうことで質問もし、投票しということをしてきたわけで、それで確か公社4年はやるという話だったのに、まだ4年経ってないだろうということもあるんです。
 ともあれ地方自治、特に基礎自治体の首長をやってきた人間にしてみれば、何ほどか郵政、郵便局との連携によって、地域の方々の暮らしそのものも守れたか。百石町の場合、ちょっと見てきてとか、道路の話もそうですけども、我々のパトロールしきれないところでも毎日見て歩いているから、情報のやりとりをしていました。本当によくやってきたわけですよね、地方とすれば。そういった地域の安心・安全の一つの灯台、守るための、それが無くならないということを言っているんだけれども、それをどう守りぬけるかということがきちんと示されない点においてはちょっと困るなということで、だいぶ公聴会で言いました。

○記者
 政治的な空白を作らないということについては、つまり解散については。

○知事
 解散権は総理にあるわけだし、それは何とも言いようがないけどもね。
 私、社会保障制度とか、もうちょっとやっていただきたい部分があって、地方自治体側とすればね。もっときちっと国会で議論するなら、その辺をやってもらいたい。年金問題とか、医療問題とか、その他いろいろある、山積み、山積ということです。

○記者
 ありがとうございます。

○記者
 先ほど医師確保が出たんですけれども。弘大への奨学金、初年度は7割ぐらいの状況について知事の感想と、あと、知事は、弘大の新入生や、最近では産科の大学院とか、結構医師確保をやっているんですけど、それについての手ごたえと、市町村の、自治体病院の開設者に求めることがありましたら、お話ください。

○知事
 まず、後の方から。それは第一義的にやはり開設者が医師確保についてはご尽力いただきたいなという思いがございます。ただ、全体連携ということがすごく重要、ネットワークを組むということ。医師の世界でも、ご存知のとおり産婦人科医3人チームを組ませるとか、要するにチーム編成をしないともう医療水準どころかそれぞれの肉体的、身体も壊すし、すごい状態になっているわけです。産婦人科だけじゃなくてね、各科目ともそういうような状況です。根本的に、本質的に医師が不足しているということはお分かりいただけると思いますし、従って、何卒開設者におかれましてもご尽力いただきたい。弘大で懇談しているのは1年生とか5・6年生とか、産婦人科医ともしたけれども、私どもとしてどういった今後医療を、全体としての医療の仕組みを考えていくべきかというアドバイスを逆にもらったり。こちらが考えていることを話して、意見交換をしたりとかをしています。
 要するに、共にこの地域の命を守っていくことをやろうよということで、呼びかけをしながら一緒に残って欲しいと、直接スカウトしているわけだけれども。
 それぞれに具体の意見を出して頂いて、手ごたえはいいなと思っているんですけど。ただ、時間がかかるでしょう。1年生だったら6年あって2年足して8年、まあ10年単位の話でしょう。先々に成果が出てくることなので、二十数名今、できたけども、最も他地域に行って、他大学で引き抜きは良くないことだと思うんですけども、そちらも積極的にやっているわけだし、実際に数字、知っているとおり何人かずつはもう呼んできているわけだけれども。
 前、産婦人科の学会に行って、他大学の先生方がブロックをかけて、知事、これはうちの学生ですからって、ということもあった。確かにそれはお宅の学生だろうけど、話ぐらいさせてくれてもいいじゃないかと、やったこともあったんだけれども。いや、是非、今日、記者さん皆さん申し上げたい。うちの県土整備部の職員で学士入学でお医者さんになったのがいる。皆さんも学士入学していただければ、県の支援制度があるんですよ。これ、人助けになりますよ。笑い事ではなくて本当に。切実な問題です。それなりに手ごたえありました。

○記者
 県は12日の松永院長と中川経産大臣との話なんですが、知事の文言とか要請がやや厳しくなったかなと私は感じるんですけども、院長と経産省とでは、特に経産省に厳しいように受け止めたんですが、何か心境の変化とかあったんでしょうか。

○知事
 いや、大臣がいなかったじゃない海外に行っていて。

○記者
 内容に対してですが。

○知事
 でも同じことを言ったんだけど。向うが、最終責任者としてって、言ったなということです。公開でやっていたから、皆録音を取っていると思うけど、大臣の方が非常に厳かで緊張した感じでした。

○記者
 あと1点。
 市民団体なんかの方から、いわゆる県としても独自の、最終責任者は国ということなんでしょうけども、県としても独自の検証室もあるので、その点について独自の検証をしてはという意見があるんですが。

○知事
 かなり私どもの企画政策部にある検証室とすれば相当やっているという認識をもっています。これまでも検証室の報告を受けながらいろんな総合判断をしてきたわけだし。と認識しております。

○幹事社
 それではこれで8月の記者会見を終わります。

○知事
 ねぶたの方のご協力等、よろしくお願いいたします。


−以上−

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