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臨時会見/ウラン試験に係る安全協定関係

会見日時:平成16年11月18日(木)16時00分〜16時45分
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○幹事社
 それでは安全協定に関する知事の記者会見を行います。お願いいたします。

○知事
 平成14年2月の六ヶ所再処理工場の使用済燃料受入れ貯蔵施設のプール水漏えいに始まる一連の問題については、原因究明及び点検の結果、291箇所もの施工上問題のある溶接箇所が確認され、ひいては日本原燃株式会社の品質保証体制までも見直しせざるを得なくなったことは、県民の安全と安心の確保上、極めて重大な問題であり、国においても、事業者の総点検結果を厳しくチェックし、施設の健全性を確認したほか、品質保証体制の改善策の実施状況を厳しくフォローアップしていくこととしたところであります。
 また、県としても、日本原燃株式会社に対し、品質保証の外部監査機関により事業者の体制をチェックさせ、その結果を公表させるということが緊張感を持って事業を推進する上で大きな効果を発揮するものと期待して、「常設の第三者外部監査機関の設置」を始めとする5項目の安全確保対策を強く求めたところであります。これに対し、社長から「全て遵守する」との決意表明がなされたことを踏まえ、本年4月28日、六ケ所再処理施設におけるウラン試験の安全協定について、手続きの検討に着手し、県及び六ケ所村でとりまとめた安全協定書素案を去る6月23日に公表いたしました。
 ウラン試験に係る安全協定書素案については、現在締結している使用済燃料受入れ貯蔵施設に係る安全協定を基本としつつ、
(1)プール水漏えい問題を踏まえ、事業者が品質保証体制の充実強化に努めるよう規定したこと。
(2)事業者が「品質保証の実施状況」を定期的に文書により報告するよう規定し、具体的報告事項として「品質保証の実施計画、実施結果、常設の第三者外部監査機関の監査結果」を規定したこと。また、東通原子力発電所に係る安全協定で報告頻度を増やした項目については、同様に報告頻度を増やしたこと。
(3)ウラン試験時のトラブル対応に万全を期す観点から、事業者は、異常事態に該当しないトラブル事象についても、トラブル等対応要領に基づき適切な対応を行うよう規定したこと。
など内容の強化を図ったところであります。
 しかしながら、コスト論議による核燃料サイクル政策の見直し論や過去のコスト試算問題、関西電力株式会社美浜発電所の事故等、様々な問題が相次いで発生したことから、県としては、慎重の上にも慎重を期し、これらの事案も含め、3度にわたり、県議会議員全員協議会、市町村長会議、青森県原子力政策懇話会において御質疑、御意見を賜ったところであります。
 さらに、ウラン試験の概要や安全協定書素案などについて広く県民にお知らせするため、県内6箇所で説明会を開催し、参加された方々から出された様々な御質問等にお答えしました。
 また、一部の団体から再処理事業に反対する立場での申し入れ等もお受けいたしました。
関係各位からいただいた御意見等を総括しますと、
(1)県議会議員に対しては、6月23日に開催した県議会議員説明会において御説明をし、その後、7月12日、8月25日、10月7日の三度にわたり開催されました県議会議員全員協議会及び県議会9月定例会において質疑がなされ、これらの経緯を経て、県議会各会派等から知事に対し報告・申し入れがなされました。
  会派からの意見の内容については、「自由民主党」及び「公明・健政会」の2会派からは、「安全協定書(素案)は了とする。締結については国の政策確認等を踏まえ知事が総合判断していただきたい。」旨、文書で私に対し報告があったところであり、また、「新政会」会派からは、「安全協定書(素案)は了とする。」旨の報告がありました。
 一方、「社民・農県民連合」及び「日本共産党青森県議団」の2会派並びに無所属議員からは、「安全協定は締結すべきではない。」旨、文書で報告・申し入れがありました。
(2)市町村長に対しては、7月13日の六ヶ所周辺市町村長・全市町村長会議及び8月26日の市町村長会議、また、関西電力株式会社美浜発電所3号機の事故等に関して開催された10月12日の市町村長会議において、御意見等を伺い、安全協定書(素案)については特段の異議はなく、今後の対応については、
 ○知事の総括的判断に委ねる。
 ○安全協定は、慎重に、判断材料を見ながら対応して欲しい。
 ○安全協定に基づき十分気をつけて対応して欲しい。
 などの御意見があったところです。
(3)青森県原子力政策懇話会においては、6月28日の第5回懇話会での御説明、7月8日の核燃料サイクル開発機構東海事業所再処理施設の現地視察を経て、同月13日の第6回懇話会、9月6日の第7回懇話会、また、「関西電力株式会社美浜発電所3号機の事故について」を議題とした10月12日の第8回懇話会を含めて、計3回の意見交換がなされたところであり、安全協定書(素案)そのものに対する御意見は発言全体の中では少なかったものの、その主な御意見としては、
 安全協定の素案については、
 ○青森県及び六ヶ所村の権限を充実させることが極めて重要である。第14条の立入調査において、専門能力を持った職員の配置と育成をお願いする。
 ○ウラン試験に係る安全協定について、きちんと県民と事業者、そして国、県も含めて、これであれば、なるほど安全が担保できるというような議論の過程にあることから、お互い何処で理解し合えるかということを議論して、お互いが信頼出来るような状況にもっていければ、一番良いのではないか。
 ○安全協定は地元と事業者の信頼関係の上に成り立つものであるので、両者十分に協議し適切なものを必要なタイミングで改訂すればいいのではないか。
 などの御意見があったところです。
 また、六ヶ所再処理施設のウラン試験時に発生が予想されるトラブル等への対応については、
 ○怖い、気持ち悪い、不安だと言う方々は多いと思う。そのため、これからも国、県、自治体等いろんな方面からのきめ細かな広報活動が必要だと痛切に思った。
 ○事故や重大なトラブルだけではなく、軽微なトラブル、不具合が生じた場合にも積極的に情報公開を行い、地域住民の不安を取り除く努力をする体制を整備したことは評価できる。協力会社を含めた全従業者に情報公開の意味と重要性をよく理解させていただきたい。
 ○トラブルなどへの対応についてはそれなりの体制ができたと考えるが、その内容は既知のトラブルへの対応策やトラブル時の報告や公表が主と受け取れる。迅速且つ確実な情報公開は勿論であるが、如何なる事態でも万全な処置が迅速に講じられ、周辺の安全が十分に確保されるという現実に即したシナリオが見えることが必要であると考える。
 ○ウラン試験だけでなくアクティブ試験、本稼働と先を読んで安心を訴えるのが事業者の役割だと思う。
 ○予想されるトラブルの対応については、教育訓練が非常に大事である。
 ○小さなトラブル等は、実際にウラン試験の中で起きる可能性があるが、恐らくこのトラブル事例のままではないと思う。これを如何に応用するのかということが結構重要と思うので、よろしくお願いしたい。
 ○日本原燃株式会社及びそれに関わる社員の安全意識及び任務の重要性を十分認識し、絶対にトラブルを起こさないで欲しい。
 ○事業者の素早い情報公開などの対応を評価する。書面を作る人だけでなく現場で作業する人がトラブル集をチェックしながら事故が起きたときにどのように対応するかという訓練をたくさんやるべきである。
 などの御意見があったところです。
 その他の御意見としては、
 ○原子力の推進機関である経済産業省の中に、原子力の安全規制についてのチェックをする原子力安全・保安院が一緒に同居しており、推進と規制の分離を徹底すべきである。
 ○美浜発電所の事故は、国にも非常に責任があるのではないか。国の機関として、検査や認可を処理すればそれで良いというようなことではないと思うが、現実的には国のチェックがきちんと行き届かなかったから、この事故が起こった。
 ○原子力施設の第三者機関による施設の外部監査制度を立法化することによって、今回発生した美浜発電所の事故の諸問題を是正することができる。
 ○今回発生した美浜発電所の事故を含め、人間の管理も含めた品質管理がまず重要であり、この他、情報公開、コミュニケーションの三つを大切にしなければ、原子力行政というものは成り立って行かない。
 ○青森県に核燃料サイクル施設や原子力施設ができることによって、必ずしもマイナスだけでなく、地域振興などの関係で財政的な恩恵を受けてくることも事実であることから、安全を第一義的にして、施設を有効的に使うということを真剣に考えなければならない。
 などのほか、
 安全安心を保証できる体制の確立、県民に分かりやすい情報公開の徹底などの御意見が多く出されたところであります。
(4)平成16年7月26日から28日にかけて県内6地区において県の主催で開催した「六ヶ所再処理施設のウラン試験に係る説明会」には、6会場合わせて約900人が参加し、項目数で168件の質問・御意見が出されたところであり、安全協定の素案については、
 ○ウラン試験に係る安全協定素案は、これまでの安全協定とどう違うのか。
 ○放出管理目標値について、なぜ放出量管理の方が濃度管理より厳しい管理方法であるのか。
 ○安全協定締結が遅れるのは問題であり、県はどういう見解を持っているのか。
 などの質問、また、
 ○県が県民の安心に向けて取り組んでいることは承知しており、速やかに安全協定の手続きを進めるべきである。
 ○安全協定案では品質保証の実施状況の報告などを求めているが、県民にその結果を分かりやすく説明していく必要がある。
 ○県は主体的に調査等を行う必要がある。国や事業者の言うことを聞くだけでは、安全協定の当事者となる資格はない。
 などの御意見があったところです。
 また、原子力施設安全検証室から、11月13日に、
(1)「ウラン試験におけるトラブル等対応要領」(仮称)については、県、村、事業者が協議して定めることなどを規定すべきである。
(2)日本原燃株式会社による品質保証体制の確立に係る改善策の実行の確実性を高めるため、当該改善策の実行に対するフォローアップの履行に係る国からの確認を求めるべきである。
(3)東京電力株式会社の不正問題、日本原燃株式会社の使用済燃料受入れ貯蔵施設のプール水漏えい問題、関西電力株式会社の美浜発電所事故などに係る一連の経緯等にかんがみ、電力業界全体における品質保証体制の確立に係る水平展開、情報共有等を担保するための常設の第三者機関の設置を求めることを含め、国及び事業者に対し、安全確保対策の強化を求めるべきである。
などの報告を受けました。
 このような経緯を踏まえ、県としては、我が国における原子燃料サイクル事業の国策上の位置付けを含む核燃料サイクル政策や安全規制の強化等について、国の姿勢を確認するため、核燃料サイクル協議会の開催を要請いたしました。
 去る11月15日に開催された第8回核燃料サイクル協議会には、細田内閣官房長官、棚橋科学技術政策担当大臣、中山文部科学大臣、中川経済産業大臣、近藤原子力委員会委員長、藤電気事業連合会会長に御出席をいただきました。
 協議会の場において、私からは、
 ○核燃料サイクル政策について
 ○プルサーマル計画について
 ○高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る見通しについて
 ○安全規制の強化並びに情報公開について
の4項目に係る要請及び確認をいたしました。
 1点目の「核燃料サイクル政策について」は、近藤原子力委員会委員長から、「原子力委員会の第12回新計画策定会議において、使用済燃料を再処理することを基本方針とする中間取りまとめを行った」との御発言があり、また、細田内閣官房長官及び関係閣僚等からは、「プルサーマルを含む核燃料サイクルの国内における確立は、我が国原子力政策の基本であり、政府一体となって着実に推進していく」との御発言がありました。
 これに対し、私から、プルサーマルを含む核燃料サイクルについては、引き続き、政府一体として責任をもって推進することには変わりがないのか重ねて確認を求めたところ、細田内閣官房長官及び中川大臣から、プルサーマルを含む核燃料サイクルの確立については、我が国原子力政策の基本であり、安全確保を大前提に、引き続き、政府一体となって推進するとの方針は変わらないとの強い決意を改めて確認いたしました。
 2点目の「プルサーマル計画について」は、棚橋大臣及び中川大臣から、「プルサーマルは核燃料サイクルの確立の第一歩として重要であり、その実現に向け、国民の理解を得る活動を前面に出て実施する等、政府一体となって取り組む」、「九州電力株式会社の玄海原子力発電所、四国電力株式会社の伊方原子力発電所に関しては、プルサーマルの実施に向け、着実に準備が進められている」、また、藤電気事業連合会会長から、「一日も早いプルサーマル計画の実施に向け、不退転の決意で臨んでいく」との御発言がありました。
 私としては、プルサーマル計画については、国及び事業者が責任をもって関係者と積極的に話し合いを進め、地元の方々や国民の理解を得ながら進めるべきものと考えており、今後とも、プルサーマルを巡る動向を厳しく見極めることといたしました。
 3点目の「高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る見通しについて」は、細田内閣官房長官及び中川大臣から、「青森県を最終処分地にしない」という国の約束、「高レベル放射性廃棄物の最終処分については、知事の要請に応えるよう、政府一体としての一層の取り組みの強化を図る」という国の約束については現内閣としても引き継がれていること及びその履行に全力を尽くしていることについて、御発言がありました。
 私としては、国と関係者が一体となって進めている最終処分事業については、処分地の早期選定に向け、なお一層、政府一体として強力に取組むよう改めて要請いたしました。
 4点目の「安全規制の強化並びに情報公開について」は、国に対し、
 ○再処理施設の安全確保に万全を期すため所要の検査を厳正に実施するとともに、万全の品質保証体制を確立するよう、事業者を厳しく指導・監督すること。
 ○県民の間には、原子力安全・保安院の経済産業省からの分離・独立を求める声が少なくないところであります。このことを踏まえて、安全規制に関する組織体制を明確にすること。
 ○原子力施設の品質保証体制を確立し、事業活動を安全に進めるために、協力会社を含め、原子力産業従事者の人材育成に積極的に努め、高いモラルが維持されるよう、事業者を厳しく指導するとともに、その状況を確認すること。
 ○県民の安全と安心を確保するために、安全安心文化の構築とともに、より積極的かつ分かりやすい情報公開を行うよう、事業者を厳しく指導すること。
との要請をいたしました。
 これに対し、中川大臣からは、安全規制の強化等について、「国として、再処理施設の安全性の確保に万全を期していく」、「原子力従事者の人材育成については、保安検査を通じ、事業者の取組みを促していく」、「積極的な情報公開は極めて重要であり、必要な指導を行う」との御発言がありました。
 また、安全規制体制については、「昨年10月から国民の立場に立って品質保証を重視する新体制に移行しており、今後とも、広く御意見を伺いつつ、安全規制の改善に努める」との御発言がありました。
 これに対し、私からは、六ヶ所再処理施設について、引き続き、国のフォローアップを求めるとともに、県民の間には保安院の分離・独立を求める声があることを踏まえ、県民の不安・懸念に応えるよう、安全規制体制の一層の強化について改めて要請いたしました。
 さらに、今回、私としては、日本原燃株式会社の使用済燃料受入れ貯蔵施設におけるプール水漏えい問題に対する本県としての経験などを踏まえ、電気事業連合会に対しては、
 ○電気事業者においては、自らが協力会社との連携を強化する体制を構築するとともに、第三者によるチェックを行い、その結果を公表すること。
 また、事業者・協力会社間で事故情報等を共有化し、事業者の行う品質保証活動に適切に反映されているということについて、第三者機関を設けて、定期的にチェックを行い、その結果を国民に公表すること。
との具体的な要請をいたしました。
 これに対し、藤電気事業連合会会長からは、「協力会社を含めた原子力関係者間の情報共有の徹底や協力会社との責任の明確化等、品質保証体制の再構築等を講じていく」、「電気事業者からの独立性を持った新たな体制を構築し、電気事業者の品質保証活動について、外部の専門家や専門技術者による厳正な評価を行い、その結果や勧告の内容を公表する」との御発言がありました。
 私からは、「電気事業者として、自らの品質保証活動を第三者の視点からチェックし、公表するために、電気事業者から独立性を持った体制を構築するということなのか」確認を求めたところ、藤会長からは、「知事の意向を受け止め、早期に構築するよう取り組んで参りたい」と、原子力産業全体として品質保証体制を再構築するとの強い決意表明がなされました。
 このことは、電気事業連合会として、私からの要請を真摯に受け止め、原子力産業界全体として品質保証体制を再構築するとの強い決意の現れであり、評価したいと思います。
 私としては、核燃料サイクル協議会における細田内閣官房長官をはじめとする関係閣僚、また、原子力委員会委員長及び電気事業連合会会長からの誠意ある回答を重く受け止めたところであります。
 私どもの原子力施設安全検証室からは、協議会を踏まえ、11月15日に、
「日本原燃株式会社社長に対し、
(1)協議会における、日本原燃株式会社の原子燃料サイクル事業に直接的に関連する部分に関する説明の諸点について、どのように考えるのか。
(2)私から要請した「常設の第三者外部監査機関の設置」をはじめとする5項目の各対策に係るその後の取組状況はどのようになっているのか。
(3)トラブル事象発生時における情報公開として、県への報告・説明及び県民への公表・説明について具体的にどのように取り組んでいくのか。
(4)六ヶ所再処理工場に係る取り組みが建設主体から運営主体へ移行していくことについてどのような基本的考え方の下に対応していくのか。
について、確認を求めるべきである。」との追加報告があったことから、私としては、本日、これらの事項について日本原燃株式会社兒島社長に確認したところです。社長からは真摯に誠意を持って取り組んでいくとの回答がございました。
 また、原子力安全・保安院井田審議官に対し、ウラン試験に関連する原子力安全・保安院の対応について、改めて確認するとともに、
 ○今後予定されている六ケ所再処理工場におけるウラン試験について、県民の安全と安心が確保されるよう、国において、現地における試験状況のきめ細かな監視指導も含め、万全の安全規制と適時適切な対外説明を行うこと
 ○日本原燃株式会社の品質保証体制が効果的に機能するよう、その運用状況について、引き続き「六ケ所再処理施設総点検に関する検討会」の検討も踏まえながら、適切にフォローアップしていくこと
 ○原子力安全・保安院長には、速やかに現地に来て、現地職員を督励してほしいこと。
について要請をいたしました。
 これについて、井田審議官から、知事の要請に誠意をもって対応する旨回答がありました。
 さらに、六ケ所村長に対し、安全協定書案の申し入れを確認したところ、村長からは、安全確保を第一義に地域振興に寄与することを前提に、全員協議会、住民説明会、庁議などを開催して総合判断した結果、申し入れについては了とする旨発言がありました。
 このように、県としては慎重の上にも慎重に手順を踏んで参り、三役・関係部局長会議を開催して協議した結果、
 ○関係各位からいただいた御意見等を総括すると、先に公表した安全協定書素案、細則素案をもって安全協定を締結することについて、大筋として了とする方向にあること
などについて確認するとともに、核燃料サイクル協議会における国等からの回答、原子力施設安全検証室からの報告、日本原燃株式会社社長に対する確認結果、原子力安全・保安院井田審議官に対する確認結果、六ケ所村長の意向等を勘案すると、安全協定を締結することは適当との意見の一致を見たところです。
 私としては、これまでいただいた御意見や確認結果等を踏まえながら、手堅く、慎重の上にも慎重を期して参りましたが、これらを踏まえ総合判断した結果、安全協定を締結することは適当との判断に至り、先に公表いたしました協定書案、細則案について、日本原燃株式会社兒島社長に提示し、協定締結を申入れることといたしました。また、ウラン試験に係る安全協定書案、細則案においてより強化した部分等について、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに係る安全協定書、細則にも盛り込むため、これらの安全協定書、細則の一部を変更する覚書案の締結を併せて申し入れることとしております。
 さて、原子力は国のエネルギー政策上重要な位置付けにあるものですが、その推進に当たり、安全確保が大前提であることは言うまでもございません。
 原子力施設に関する安全を確保するためには、第一義的には事業者が責任をもって取り組むとともに、法令に基づいて一元的に安全規制を行っている国がその役割を果たしていくことが基本であり、国及び事業者においては、これまでの一連の問題を踏まえ、一層の責任と使命感を持って安全確保の徹底を図るとともに、国民の理解を得るために説明責任を果たしていくべきであると考えています。
 一方、県としては、県民の安全と安心を確保するという立場から、これまでも原子力施設について、立地村とともに事業者と安全協定を締結して、環境の監視を行うとともに、施設への立入調査を実施するなど、安全確保を第一義に取り組んできているところであり、今後ともこの姿勢を堅持し、県民の安全と安心に重点を置いた対応をすべく、安全確保を第一義に慎重かつ総合的に対処して参ります。
 以上であります。ご質問がおありでしたらお受けいたします。

○記者
 今ご説明の中に、国、事業者に対して、事業推進に向けてという意味だと思うんですが、国民の理解を得るために説明責任を果たしていくべきだというお考えを示されたのですが、立地協力している県として、主体的にそこをどういう形で判断して、安全協定を申し入れされる判断をされたのかお伺いさせていただきたいと思います。

○知事
 大変恐縮ですけれども、縷々説明するために、これだけの時間をちょうだいし、まさにこれまでの経緯等を踏まえ説明申し上げたわけでございます。大変恐縮ですけれども、それであればもう一度読めということは、さすがにこれは、資料お配りしましたので、恐縮ですが参考としてください。

○記者
 すいません。お聞きさせていただいた一連の手続の中で、県議会等、各機関の意見としてはレクされたのですが、県としてそれを、この表現では、総合的に判断されたという表現になっているのですけれども、具体的にどういう判断に至ったのかという主旨の質問なんですけれども。

○知事
 大変私が記者の質問に対してご意見を申し上げるのはなんですけれども、議会であるとか、肝心なところを全部また読めということですか。

○記者
 議会等の判断は分かるのですけれども。

○知事
 議会あり、協議会あり、市町村長会議あり、また各機関含めてのやりとりあり、サイクル協議会あり、そういったものを様々様々重ねてきて、私どもとしての総合判断に至ったということを、全体の中で極々申し上げたというふうに御理解をいただきたいと思います。

○記者
 三村知事が今回、申し入れに至るに当たって、最も大切にして、最も重要視した判断の材料というのはどういうところなのでしょうか。

○知事
 安全協定という言葉が示すとおり、ウラン試験に係る安全協定の締結に当たっては、私としては、150万県民の安全ということが、最も大切であると考えております。そのような観点から、品質保証の外部監査機関により事業者の体制をチェックさせ、その結果を公表するということが緊張感を持って事業を推進する上で大きな効果を発揮するものと期待し、日本原燃株式会社に対して、「常設の第三者外部監査機関の設置」を要請したところであり、既に、外部監査機関による監査及びその結果の公表が行われております。
 また、これは今回のことですけれども、美浜発電所の事故などを踏まえ、先日の核燃料サイクル協議会において、藤電気事業連合会会長に対しまして、電気事業者の行う品質保証活動について、第三者機関を設けて、定期的にチェックを行い、その結果を国民に公表することを求めたところであります。
 藤会長からは、電気事業者から独立性を持った体制を構築し、電気事業者の品質保証活動について、外部の専門家や専門技術者による厳正な評価を行い、その結果や勧告の内容を公表するような体制を早期に構築するよう取り組んで参りたいとの決意表明がなされました。
 このことは、電気事業連合会として、私どもからの要請を真摯に受け止め、原子力産業全体として品質保証体制を再構築するとの強い決意の現れであり、評価したいと思っております。
 さらに、本日、原子力安全・保安院に対して、日本原燃株式会社の品質保証体制が効果的に機能するよう、その運用状況について、引き続き「六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会」の検討も踏まえながら、適切にフォローアップしていくことを求めました。つまり安全ということを確立していくために、それぞれの方面に対しての品質保証ということについて、徹底して求めていくという姿勢を示してきたということでございます。繰り返しになりますけれども、まさに安全協定ということでありますから、150万県民の安全を図るための方策、方向等について最大に配慮する方策を講じたということであります。

○記者
 三村知事にとっては、重く難しい決断だったとお考えでしょうか。

○知事
 常にこの原子力政策に係る判断については、第一義的にはご存じのとおり事業者、国においてその方向性等が明示され、その責任において進められるものでありますが、まさにこの安全協定等、地域、地元において締結等決断することは、常に重い責任であると私自身としては自覚しております。

○記者
 今回総合判断されるに当って、新計画の策定会議の中間報告というのがだいぶ大きい判断される上のファクターだったかと思いますが、その結論が第二再処理工場については、結論出ていない、あるいは高レベルの廃棄物の最終処分地についてもまだ未定であるということだったんですけれども、そういう中で再処理は路線は維持するということでしたが、その中間報告の結果について判断される上で物足りなさというものはお感じにならなかったでしょうか。その理由もお聞かせいただければと思うのですが。

○知事
 要するに中間報告というものについて、判断の材料となったかということが第一点ですね、高レベル等についてまだ、要するに搬出場所等がはっきりしていないのではないかというご質問の2点ですね。

○記者
 ですからそれについて物足りなさを感じなかったということなんですが。

○知事
 私は先程から申し上げておりますとおり、私のみならず、これまで知事において節目節目においての確認ということが行われてきました。今回高レベルの部分について申し上げるのであれば、確かに現状においての部分、国からの報告として、要するに本県を最終処分地にしないということについての確約といいましょうか、現内閣においてもそれはきちんと引き継がれているということがあったことは大きいと思っていますし、また、国としてそれぞれ大臣からの答えとして、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、我が国の核燃料サイクル政策を進める上で極めて重要な課題であるとの認識があるとの言葉があり、平成12年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」を策定し、国と関係者一体となって最終処分事業を進めているところですが、いわゆる概要調査地区の選定に至っていない状況を踏まえて、私どもとすれば非常に強く要請をした訳ですけれども、国からは早期選定に向けて、強力に取り組むという言葉をいただきました。これまで以上の強い言葉をいただいたと思っていますし、その言葉において最初の約束共々、当事業がきちんと履行されるということを感じております。

○記者
 これでウラン試験に係る安全協定の判断がされたわけですけれども、本県においては原子力施設について、むつ市の中間貯蔵施設ですとか、六ケ所村のMOX工場の立地協力要請がきているかと思います。県として次にどういったことを検討されていくのか教えてください。

○知事
 現状は私どもこの後、日本原燃さんに対して、六ケ所村長さん共々、もう投げ込み等しているのですけれども、申し入れをします。向こうからの返事があって、締結するという段取りがあると思います。したがってこれまで、ウラン試験に係わるところの安全協定の締結というところの判断を優先してきましたので、その後につきましては、また、今後ということになると思います。要するに調印に至っておりませんので。

○記者
 知事はですね、最終判断に至るまでの経緯の間で国や事業者に対して、県民の不安や不信は払拭されていないんだということを常々訴えておられました。今回の最終判断に至った判断の中で、それは払拭しつつあるという認識ですか、それともまだまだという認識ですか。

○知事
 先程の総合的なペーパーの中で申し上げましたけれども、であるからこそ、国及び事業者、そしてまた私どもについても、それぞれの立場において説明していく、また、安全ということを積み重ねていくということが必要だと私は思います。
 前と同じような話をして恐縮ですけれでも、久保寺先生が話しておりました、要するに大半の方々に安心という思いを抱いていただくには、やはり安全に操業していく、安全を積み重ねていくことが大事であるという言葉を私たちいただいたことがあります。まさに安全と安心、私ども食糧の場合でも青森県の安全・安心の食糧作りとかそういう話を申し上げているのですけれども、確かに同列では並べられない言葉であるとも思います。安全という言葉は先生の言葉で言うと、確立統計論に基づいて語られる技術論、しかし技術面の安全というものには裏付けがあるけれども、安心にはそういうことがないんだと、お互いに安全ということに対する、実際に安全を積み重ねていくということが安心に至る道なんだと、一人一人安心ということについては価値感が違う部分がある、だからこそ、安全操業に至る道筋というものを厳しく厳しく求めていくことが重要であると思いますし、国及び事業者については、これまでのあらゆるいろいろな出来事の反省にきちんと立って、そういった道筋を歩んでいただきたいと思います。であればこそ、本来私どもが第三者機関ということを原燃に対しても、あるいはもうひとつの観点の電気事業者それぞれに対してでも、申し上げてそれを形づくり、いわば監査していただくという形は、本来私どもが申し上げなすべきこととしては、非常に私どもの権限より大きい問題なのかもしれませんけれども、しかしながら、それでもそういった第三者機関を用いてまででも安全を積み重ねていくための仕組みを作るということを提案し続けなければいけなかったということを大いに国及び事業者に自らを省みていただきたいという思いがあります。

○記者
 すいません、もう一点だけよろしいですか。今日改めて国と事業者について確認されましたけれども、その内容に関しては、これまでの経緯の中で全く触れていなかったものではないのかと思うのですが、それを改めて今日確認されたのかということなんですけれども。

○知事
 触れていたとは思えないものもあるわけですから、それぞれについて再確認ということ。私どもも常に新しい観点からこの安全、したがってその先にある安心の確立のために努力していくという思いで今日、両者に対応いたしました。

 ありがとうございました。

−以上—

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