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更新日付:2022年10月06日 医療薬務課

不利益処分に関する処分基準(保健師助産師看護師法)

不利益処分に関する処分基準

根拠法令の名称 根拠法令の条項 不利益処分の種類 処分権者
保健師助産師看護師法 第14条第2項 准看護師免許の取消、業務停止 県知事(健康福祉部)

処分基準

設定:
最終改定:
法令に処分基準が具体的、かつ、明確に定められているので処分基準を設定していない。

根拠条文等

根拠法令

○保健師助産師看護師法
第14条 略
2 准看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至つたとき、又は准看護師としての品位を損するような行為のあつたときは、都道府県知事は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 3年以内の業務の停止
三 免許の取消し 
3 略

基準法令

○保健師助産師看護師法
第9条 次の各号のいずれかに該当する者には、前2条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある。
1 罰金以上の刑に処せられた者
2 前号に該当する者を除くほか、保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
3 心身の障害により保健師、助産師、看護師又は准看護師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
第14条 略
2  准看護師が第9条各号のいずれかに該当するに至つたとき、又は准看護師としての品位を損するような行為のあつたときは、都道府県知事は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 3年以内の業務の停止
三 免許の取消し 
3 略

医道審議会保健師助産師看護師分科会 看護倫理部会 平成28年12月14日
●保健師助産師看護師行政処分の考え方
医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるものであり、医療を受ける者に対し良質かつ適切な医療を行うよう努めるべき責務がある。
また、保健師、助産師及び看護師は、保健指導、助産、療養上の世話及び診療の補助を行う各専門職としての資格が保健師助産師看護師法に定められており、その資質を向上し、もって医療及び公衆衛生の普及向上を図ることを任務としている。
当部会は、保健師助産師看護師(以下「看護師等」という。)の行政処分に関する意見の決定に当たり、過去における当部会の議論等を踏まえつつ、当面、以下の考え方により審議することとする。なお、この「行政処分の考え方」については、行政処分における処分内容が社会情勢や社会通念等により変化しうるべきものであると考えるため、必要に応じて、当部会の議論を経ながら見直しを図っていくものとする。
1.行政処分の基本的考え方
保健師助産師看護師法第14条に規定する行政処分については、看護師等が、罰金以上の刑に処せられた場合や業務に関する不正の行為があった場合、又は看護師等としての品位を損するような行為があったとき等に際し、看護倫理の観点からその適性等を問い、厚生労働大臣がその免許を取り消し、又は期間を定めてその業務の停止等を命ずるものである。
処分内容の決定においては、司法処分の量刑や刑の執行が猶予されたか否かといった判決内容を参考にしつつ、その事案の重大性、看護師等に求められる倫理、国民に与える影響等の観点から、個別に判断されるべきものであり、かつ、公正に行われなければならないと考える。
このため、当部会における行政処分に関する意見の決定に当たっては、この「行政処分の考え方」を参考にしつつ、生命の尊重に関する視点、身体及び精神の不可侵性を保証する視点、看護師等が有する知識や技術を適正に用いること及び患者への情報提供に対する責任性の視点、専門職としての道徳と品位の視点を重視して審議していくこととする。
なお、看護師等の業務については、保健師助産師看護師法をはじめとする諸法令によって、高度な倫理観を要する医療行為等を業として行うことが独占的に認められており、当該業務の遂行に当たっては、その社会的責務から一層の職業倫理の遵守が求められるものである。当該業務に関する不正の行為等について、当該社会的責務に相応する国民の信頼を失墜させ、看護師等としての品位に欠け、職業倫理に反するような行為である場合については、司法処分の有無に関わらず、保健師助産師看護師法に基づく行政処分を行うこととする。
また、その行政処分の程度は、事案の悪質性や注意義務の程度等を考慮して判断する。
2 事案別の考え方
(1)身分法(保健師助産師看護師法、医師法等)違反
保健師助産師看護師法、医師法等の医療従事者に関する身分法は、医療が国民の健康に直結する極めて重要なものであるとの考え方から、定められた教育課程を修了し免許を取得した者が医療に従事することを規定し、また免許を取得していない者が不法に医療行為を行うことのないよう規定している。また、不法に医療行為を行った際の罰則についても、国民の健康に及ぼす害の大きさを考慮して量刑が規定されているところである。
行政処分に当たっては、司法処分の量刑の程度に関わらず、他者の心身の安全を守り国民の健康な生活を支援する任務を負う看護師等が、自らに課せられた基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらすような法令違反を犯した場合は、その責務を怠ったことを考慮して重い処分を検討するべきである。
また、保健師助産師看護師法第15条の2の規定に基づき、厚生労働大臣より保健師等再教育研修の命令を受けたにも関わらず、妥当な理由がないまま修了せず、その後の催促においても対応がない場合においては、看護師等としての倫理を保持せず、又は必要な知識及び技能に関する研修を受けないまま業務に従事することによる国民の安全や健康への影響等を考慮した処分の程度とする。
(2)麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反
麻薬等の違法行為に対する司法処分は基本的には懲役刑(情状により懲役及び罰金)であり、その量刑は、不法譲渡、不法所持した麻薬等の量、施用期間の長さ等を勘案して決定されている。累犯者についても重い処分となっている。
行政処分に当たっては、麻薬等の害の大きさを十分認識している看護師等が違法行為を行ったこと、麻薬等を施用して看護業務を行った場合には患者の安全性が脅かされること、さらに、他の不特定の者へ犯罪が伝播する危険があること等を考慮して、重い処分を検討するべきである。
(3)殺人及び傷害
本来、人の生命や身体の安全を守るべき看護師等が、殺人や傷害の罪を犯すことは、看護師等としての資質や基本姿勢が問われるだけではなく、専門職としての社会的な信用を大きく失墜させるものである。特に、殺人を犯した場合は基本的に免許取消の処分がなされるべきである。
ただし、個々の事案では、その様態や原因も様々であり、行政処分に当たっては、それらを考慮に入れるのは当然である。
(4)業務上過失致死傷(交通事犯)
交通事故による致死傷等に対する司法処分では、警察等への通報や被害者を救護せずそのまま逃走した事犯の場合、厳しく責任を問われている。
元来、看護師等は人の心身の安全を守るべきであるにもかかわらず、適切な救護措置をとらなかったことや、通報もしなかったということは悪質であり、行政処分に当たっては、看護師等としての資質及び適性を欠くものでないかどうかを十分に検討し、相当の処分を行うべきである。
(5)業務上過失致死傷(医療過誤)
看護師等の業務は人の生命及び健康を守るべきものであると同時に、その業務の性質から危険を伴うものである。従って看護師等に対しては、危険防止の為に必要とされる最善の注意義務を要求される。看護師等が国民の信頼に応えず、当然要求される注意義務を怠り、医療過誤を起こした事案については、専門職としての責任を問う処分がなされるべきである。司法処分においては、当然、看護師等としての過失の度合い及び結果の大小を中心として処分が判断されることとなる。
行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定する。明らかな過失による医療過誤や繰り返し行われた過失など、看護師等として通常求められる注意義務が欠けているという事案については、重い処分を検討するべきである。
ただし、医療過誤は、様々なレベルの複合的な管理体制上の問題の集積によることも多く、一人の看護師等の責任に帰することができない場合もある。看護師等の注意義務違反の程度を認定するに当たっては、当然のことながら、病院・診療所・助産所等の管理体制や医療体制、他の医療従事者における注意義務違反の程度や、生涯学習に努めていたかなどの事項も考慮して処分の程度等も勘案する必要がある。
なお、再犯の場合は、看護師としての資質及び適性を欠くものでないかどうかを特に検討すべきである。
(6)危険運転致死傷
本来、人の生命や身体の安全を守るべき看護師等が危険運転(飲酒など正常な運転ができない状態での運転等)を行うことは、著しく生命尊重を欠く行為であり、看護師等としての資質や基本姿勢が問われるだけでなく、専門職としての社会的信用を大きく失墜させるものである。司法処分においては、危険運転による死傷事犯を故意犯として捉え、法定刑も大幅に引き上げられたことを当然考慮すべきである。
(7)わいせつ行為等(性犯罪)
人の身体に接する機会が多く、身体の不可侵性を特に重んじるべき看護師等がわいせつ行為を行うことは、専門職としての品位を貶め、看護師等に対する社会的信用を失墜させるだけではなく、看護師等としての倫理性が欠落している、あるいは看護師等として不適格であると判断すべきである。
特に、看護師等の立場を利用して行った事犯や、強姦・強制わいせつ等、被害者の人権を軽んじ、心身に危害を与えた事犯については、悪質であるとして相当に重い処分を行うべきである。
(8)詐欺・窃盗
信頼関係を基にその業務を行う看護師等が詐欺・窃盗を行うことは、専門職としての品位を貶め、看護師等に対する社会的信用を失墜させるものである。
特に、患者の信頼を裏切り、患者の金員を盗むなど看護師等の立場を利用して行った事犯(業務関連の事犯)については、看護師等としての倫理性が欠落していると判断され、重い処分を検討するべきである。
(9)診療報酬及び介護報酬の不正請求等
診療報酬及び介護報酬は、医療・介護等のサービスの提供の対価として受ける報酬であり、我が国の医療・介護保険制度において重要な位置を占めており、これを適正に受領することは、看護師等に求められる職業倫理においても遵守しなければならない基本的なものである。
診療報酬及び介護報酬の不正請求は、事業管理者となりうる看護師等としての地位を利用し社会保険制度を欺く行為であることから、事業所の指定の取消等の処分を受け、診療報酬及び介護報酬の不正請求に関与した事実が確認された看護師等については、当該根拠法に基づく行政処分とは別に、看護師等としての資質及び適性を欠くものでないかどうかを十分に検討し、相当の処分を行うべきである。
当該不正行為は、看護師等に求められる職業倫理の基本を軽視し、国民の信頼を裏切り、国民の財産を不当に取得しようというものであり、我が国の国民皆保険制度の根本に抵触する重大な不正行為である。したがって、その行政処分の程度は、診療報酬及び介護報酬の不正請求を行ったという事実に着目し、不正の額の多寡に関わらず、一定の処分とする。ただし、特に悪質性の高い事案の場合には、それを考慮した処分の程度とする。

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健康福祉部 医療薬務課 医務指導グループ
電話:017-734-9291  FAX:017-734-8089

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