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更新日付:2009年05月12日 職員福利課

申請に対する処分に関する審査基準・標準処理期間(青森県情報公開条例)

申請に対する処分に関する審査基準・標準処理期間

根拠法令の名称 根拠法令の条項 許認可等の種類 経由機関 処分権者
青森県情報公開条例 第11条第1項,第11条第2項 行政文書の開示決定等 教育委員会(本庁各課、各出先機関、各教育機関)

審査基準

設定:平成13年2月9日
最終改定:平成21年5月11日

   行政文書の開示決定等に当たっては、「青森県情報公開条例及び青森県教育委員会が保有する行政文書の開示等に関する規則の施行について(通知)」(平成12年3月27日付け青教総第1206号総務課長通知)のうち条例第7条から第10条までの【趣旨】及び【解釈・運用】の部分に照らして個別に判断する。

(上記【趣旨】及び【解釈・運用】については、こちらを参照してください。→青森県情報公開条例の解釈運用基準

○第7条(開示義務)関係
【趣旨】
 本条は、開示請求に対する実施機関の行政文書を開示する義務及び例外的に行政文書を不開示とする場合の不開示情報の範囲を定めたものである。
【解釈・運用】
1 県が、その諸活動を県民に説明する責務を全うし、公正で民主的な県政を推進するためには、県が保有する情報についてアクセスする手続が保障されるとともに、県が保有する情報は、原則として開示されなければならない。
このため、第5条において、県が保有する行政文書についての開示請求権を定めるとともに、本条においては、開示請求があった場合は、不開示情報が記録されている場合を除き、行政文書を開示しなければならないという実施機関の開示義務を明確に定めたものである。
つまり、実施機関は、行政文書を裁量によって開示しないという対応をとることはできず、不開示情報が記録されている場合以外は、必ず開示しなければならないものである。
2 不開示情報の範囲を定めるに当たっての基本的な考え方は、何人にも開示請求権を保障することと、開示請求された行政文書に情報が記録されている個人又は法人その他の団体の権利利益を保護し、及び円滑な行政運営の推進などの公益を確保していくこととの調和を図ることにある。
このような考え方により、本条各号に掲げる不開示情報については、原則開示という本条例の基本理念にのっとり、行政文書を開示しないことについて合理的な理由のある必要最小限の情報を可能な限り、限定的かつ明確に類型化したものである。
3 本条各号に該当すると考えられる情報が記録されている行政文書については、固定的に考えるのではなく、第8条の規定により部分開示となる場合や、第9条の規定に基づいて公益上の理由により裁量的に開示される場合、さらに、第11条第3項に規定するように一定期間の経過後であれば開示することが可能である場合があることに注意する必要がある。
4 本条と地方公務員法第34条第1項の守秘義務との関係
本条各号の不開示情報は、原則開示の例外として不開示とすべき情報を類型化したものであるのに対し、地方公務員法上の守秘義務は、職員の服務規律の維持、さらには、特定の情報を開示しないことによる公共の福祉の維持を直接の法益として同法によって課されるものであって、両者はその趣旨及び目的を異にする。
しかし、本条各号に掲げる情報の範囲は、一般的には守秘義務の範囲を含むものと考えられるので、この条例を適正に運用し、本条各号のいずれにも該当しないとして行政文書の開示をする場合は、守秘義務の対象とはならないものである。

○第7条第1号〔法令秘情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、法令又は他の条例の規定により開示が禁止されている情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 条例は、法令に違反しない限りにおいて制定することができる(地方自治法第14条第1項)ことから、法令の規定により開示することができないとされている情報については、本条例においても不開示としなければならないものであるが、それにもかかわらず本号を設けるのは、開示することができない情報をすべて列挙して一覧性を持たせ、分かりやすい条例とするためである(確認的規定)。
また、他の条例において特別の理由により不開示と定めている情報は、その条例が一般法としての本条例に優先することから、本条例においても不開示とするものである。
【解釈・運用】
1 「法令」とは、法律、政令、内閣府令、省令その他国の機関が定める命令をいい、通知等は含まれない。また、「条例」には規則、規程、通知、通達等が含まれないことは当然である。
2 「公にすることができない情報」とは、法令又は他の条例の明文の規定により公にすることができないと定められている情報をいう。
3 本号に該当すると考えられる情報の例としては、次のようなものがある。
ア 統計調査に係る調査票情報(統計法第40条第1項)
イ 建設工事紛争審査会の調停、仲裁の記録(建設業法第25条の20)
ウ 公害審査会調停・仲裁委員会の記録(公害紛争処理法第37条、第42条)   
エ 収用委員会の裁決の会議に係る記録(土地収用法第66条)
オ 児童相談所の相談、調査等の記録(児童福祉法第61条)

○第7条第2号〔不開示指示情報〕関係
【趣旨】
本号は、国の機関からの不開示の指示のある情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
【解釈・運用】
1 「法律上従う義務を有する国の機関の指示」とは、国の機関から、法律又はこれに基づく政令を根拠としてなされる指示をいう。法律又はこれに基づく政令に根拠を有する以上、当該指示に対しては、従わざるを得ないものである。
2 「国の機関」とは、内閣府、宮内庁並びに国家行政組織法第3条第2項に規定する国の行政機関として置かれる省、委員会及び庁のほか、 国会、裁判所なども含まれる。
3 「指示」とは、文書によりなされるもので、公にしてはならない旨が明記されているものをいい、口頭によるものや抽象的な内容のもの(例えば、「公表については、慎重に取り扱うこととされたい。」等)は、これに該当しない。

○第7条第3号〔個人情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、個人に関する情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 プライバシーに関する情報については、個人の尊厳を確保し、基本的人権を尊重するという観点から最大限に保護されるべきである。
しかし、プライバシーは、個人の内面的な意識の問題であり、また、個人差があることから、その具体的な内容や保護すべき範囲を明確に規定し尽くすことは極めて困難である。
このため、「特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と包括的に規定することにより、このような情報は、原則として不開示とすることとしたものであり、さらに、たとえ特定の個人が識別されない情報であっても、公にすることにより、個人の権利利益を害することがあり得ることから、このような情報についても、原則として不開示とすることとしたものである。
3 ただし、このような情報であっても、個人の権利利益を侵害せず不開示とする必要のないもの及び個人の権利利益を侵害しても開示することの公益が優越するため開示すべきものについては、例外的に開示することとしたものである。
【解釈・運用】
1 特定の個人を識別することができる情報等(本文)
 (1) 「個人に関する情報」
    「個人に関する情報」(以下「個人情報」という。)とは、
 ア 氏名、住所、生年月日、電話番号等の個人の基本的な情報
 イ 健康状態、病歴等の個人の心身の状況に関する情報
 ウ 家族状況、親族関係、生活の記録等の個人の家庭生活に関する情報
 エ 職業、職歴、学歴、資格等の個人の社会生活に関する情報
 オ 年収、所有不動産等の個人の資産・収入に関する情報
 カ 政治理念、人生観、宗教等の個人の思想、信条等に関する情報
  など、個人の内心、身体、地位その他個人に関する一切の事項についての事実、判断、評価等のすべての情報が含まれるものであり、個  人に関連する情報全般を意味する。したがって、個人の属性、人格や私生活に関する情報に限らず、個人の知的創作物に関する情報、組  織体の構成員としての個人の活動に関する情報も含まれる。
  「個人」には、生存する個人のほか、死亡した個人も含まれる。
 (2) 「(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)」
    「事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く」とは、個人に関する情報であっても、事業を営む個人の当該事業に関する情報につい  ては、社会との関わり方において、法人等の事業に関する情報と同様の性格を有する面があることから、別途、第4号(法人等情報)で判  断するものとし、本号の個人情報の範囲から除外したものである。
  なお、事業を営む個人に関する情報であっても、当該事業とは直接関係のない個人に関する情報は本号に含まれる。
 (3) 「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」
    「特定の個人を識別することができるもの」の範囲は、当該情報に係る個人が誰であるかを識別させることとなる氏名その他の記述の部  分けでなく、氏名その他の記述等により識別される特定の個人情報の全体である。
「その他の記述等」としては、例えば、住所、電話番号、役職名、個人別に付された記号、番号(振込口座番号、試験の受験番号、保険証  の記号番号等)等が挙げられる。氏名以外の記述等単独では、必ずしも特定の個人を識別することができない場合もあるが、当該情報に   含まれるいくつかの記述等が組み合わされることにより、特定の個人を識別することができることとなる場合が多いと考えられる。
 (4)「(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」
当該情報単独では特定の個人を識別することができないが、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができるものにつ   いても、個人識別情報として不開示情報となる。
    照合の対象となる「他の情報」としては、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情   報が含まれる。また、何人も開示請求できることから、仮に当該個人の近親者、地域住民等であれば保有している又は入手可能であると  通常考えられる情報も含まれると解する。他方、特別の調査をすれば入手し得るかもしれないと考えられる情報については、一般的には、  「他の情報」に含まれない。
 照合の対象となる「他の情報」の範囲については、当該個人情報の性質や内容等に応じて、個別に適切に判断することが必要となる。
また、識別可能性の判断に当たっては、厳密には特定の個々人を識別することができる情報ではないが、特定の集団に属する者に関す  る情報を開示すると、当該集団に属する個々人に不利益を及ぼすおそれがある場合があり得る。このように、当該情報の性質、集団の性   格、規模等により、個人の権利利益の十全な保護を図る観点から、個人識別性を認めるべき場合があり得る。
(5) 「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」
   匿名の作文や、無記名の個人の著作物のように、個人の人格と密接に関連したり、公にすれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものがあることから、特定の個人を識別できない個人情報であっても、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある場合について、不開示情報として規定したものである。
2  「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」(ただし書イ)
(1) 「法令若しくは他の条例の規定により」
   「法令若しくは他の条例の規定」は、何人に対しても等しくく当該情報を公開することを定めている規定に限られる。公開を求める者又は   公開を求める理由によっては公開を拒否する場合が定められていれば、当該情報は、「公にされている情報」には該当しない。
(2) 「慣行として」
   公にすることが慣習として行われていることを意味するが、慣習法としての法規範的な根拠を要するものではなく、事実上の慣習として公に されていること又は公にすることが予定されていることで足りる。
   当該情報と同種の情報が公にされた事例があったとしても、それが個別的な事例にとどまる限り、「慣行として」には当たらない。
(3) 「公にされている情報」
   当該情報が、現に公衆が知り得る状態に置かれていれば足り、現に公知(周知)の事実である必要はない。過去に公にされたものであっ  ても、時の経過により、開示請求の時点では公にされているとは見られない場合があり得る。したがって、利害関係人に限定して閲覧等が  認められている情報、請求目的により請求が制限されるような情報(戸籍法第10条第3項、住民基本台帳法第11条第3項)及び過去の一 定の期間に限って公表された情報は、これに含まれない。
(4) 「公にすることが予定されている情報」
   将来的に公にする予定(具体的に公表が予定されている場合に限らず、求めがあれば何人にも提供することを予定しているものも含む。)  の下に保有されている情報をいう。ある情報と同種の情報が公にされている場合に、当該情報のみ公にしないとする合理的な理由がないな ど、当該情報の性質上通例公にされるものも含む。
(5) これに該当すると考えられる情報の例としては、次のようなものがある。

    ア 商業登記簿に登記されている法人の役員に関する情報
    イ 不動産登記簿に記録されている不動産の権利関係に関する情報
    ウ 叙勲者名簿等の各種表彰者名簿に記載されている情報
    エ 懇談会の相手方出席者の職、氏名等
3  「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」 (ただし書ロ)
   人の生命、健康その他の基本的な権利利益を保護することは、行政機関の基本的な責務である。
   不開示情報該当性の判断に当たっては、開示することの利益と開示されないことの利益との調和を図ることが重要であり、個人情報についても、公にすることにより害されるおそれがある当該情報に係る個人の権利利益よりも、人の生命、健康等の保護の必要性が上回るときには、当該個人情報を開示する必要性と正当性が認められることから、当該情報を開示しなければならないこととするものである。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。
   この比較衡量に当たっては、個人の権利利益にも様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護にも、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討が必要である。
   なお、人の生命、健康等の基本的な権利利益の保護以外の公益との調整は、公益上の理由による裁量的開示の規定(第9条)により図られる。
4  「当該個人が公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職、氏名(警察職員の氏名を除く。)及び当該職務遂行の内容に係る部分」(ただし書ハ)
(1) 「当該個人が公務員等である場合において」
  「公務員等」の職務遂行に係る情報が職務遂行の相手方等公務員等以外の個人情報である場合がある。このように一つの情報が複数の個人情報である場合には、各個人ごとに不開示情報該当性と他の個人にとっての不開示情報該当性とが別個に検討され、そのいずれかに該当すれば、当該部分は不開示とされることになる。
   「公務員等」のうち「国家公務員」及び「地方公務員」とは、広く公務遂行を担任する者を含むものであり、一般職か特別職か、常勤か非常勤かを問わず、国及び地方公共団体の職員のほか、国務大臣、国会議員、裁判官等を含む。
   また、公務員等であった者が当然に含まれるものではないが、公務員等であった当時の情報については、本規定は適用される。
(2) 「当該情報がその職務の遂行に係る情報であるとき」
「職務の遂行に係る情報」とは、公務員等が行政機関その他の国の機関若しくは地方公共団体の機関又は独立行政法人等の一員として、その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。例えば、行政処分その他の公権力の行使に係る情報、職務としての会議への出席、発言その他の事実行為に関する情報がこれに含まれる。
   また、本規定は、具体的な職務の遂行との直接の関連を有する情報を対象とし、例えば、公務員等の情報であっても、職員の人事管理上保有する健康情報、休暇情報等は管理される職員の個人情報として保護される必要があり、本規定の対象となる情報ではない。
(3) 「当該情報のうち、当該公務員等の職、氏名及び当該職務遂行の内容に係る部分」
公務員等の職務の遂行に係る情報には、当該公務員等の氏名、職名及び職務遂行の内容によって構成されるものが少なくない。このうち、国、地方公共団体及び独立行政法人等の諸活動を説明する責務が全うされるようにする観点から、公務員等の職名、氏名及び職務遂行の内容については、警察職員の氏名を除き当該公務員等の個人に関する情報としては不開示とはしないという意味である。
(4) これに該当すると考えられる情報の例としては、次のようなものがる。
ア 起案文書に記載されている起案者等の職、氏名及び印影等
イ 旅行命令簿や復命書に記載されている公務員等の職、氏名及び復命内容
ウ 懇談会の県側出席者の職、氏名
(5) 公務員等の職務遂行に係る情報に含まれる警察職員の氏名の取扱い
警察職員の職務遂行に係る情報に含まれる当該警察職員の氏名については、公にした場合、職務遂行上大きな支障が生ずるおそれや警察職員個人又は家族に対する嫌がらせ、報復のおそれがあるため、個人情報として保護するに値すると位置付けた上で、ただし書イに該当する場合には例外的に開示することとするものである。
すなわち、当該警察職員の氏名が、法令又は他の条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている場合には、職務の遂行に係る情報について、ただし書イが適用され、個人情報としては不開示とはならないことになる。
慣行として公にされているかどうかの判断に当たっては、実施機関により作成され、又は実施機関が公にする意思をもって(あるいは公にされることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されている職員録に職と氏名とが掲載されている場合などには、その職にある者の氏名を一般に明らかにしようとする趣旨であると考えられ、慣行として公にされ、又は公にすることが予定されていると解される。
5  本人からの開示請求
   本条例は、何人に対しても、請求の目的のいかんを問わず請求を認めていることから、本人から、本人に関する情報の開示請求があった場合にも、特定の個人が識別される情報であれば、ただし書のイからハまで又は公益上の理由による裁量的開示(第9条)に該当しない限り、不開示となる。
このため、個人情報に係る自己情報の開示請求については、青森県個人情報保護条例第14条の規定により行うのが適当である。

○第7条第4号〔法人等情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、法人等に関する情報及び事業を営む個人の当該事業に関する情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 法人等又は事業を営む個人の正当な事業活動は、十分に保障されなければならない。このため、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報のうち、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報は、原則として不開示とすることとしたものである。
3 ただし、このような情報であっても、公益上の観点から、開示することの利益が、不開示とする利益に優越するものについては、例外的に開示することとしたものである。
【解釈・運用】
1 「法人その他の団体(県、国、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報」
株式会社等の会社法上の会社、一般財団法人、一般社団法人、学校法人、宗教法人等の民間の法人のほか、独立行政法人、特殊法人及び認可法 人、政治団体、外国法人や法人ではないが権利能力なき社団等も含まれる。
「県、国、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体」については、その公共的性格にかんがみ、本号の法人等の範囲から除外し、これらに係る情報についえは、いわゆる行政情報として、第5号から第7号まで(公共安全等情報、審議検討等情報、事務事業情報)において判断するものである。
  「法人その他の団体に関する情報」は、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に関する情報等法人等と何らか関連性を有する情報を指す。
  なお、法人等の構成員に関する情報は、法人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもある。
2 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」
 (1) 「事業を営む個人」とは、地方税法第72条第7項から第9項までに掲げる物品販売業、製造業、医業等の事業を営む個人のほか、農業、   林業等を営む個人をいう。
(2) 「当該事業に関する情報」とは、営利を目的とするか否かを問わず、法人等又は事業を営む個人の事業活動に関する一切の情報(事業内 容、事業用資産、事業所得等に関する情報)をいう。
 なお、事業を営む個人の事業活動と直接関係のない個人に関する情報(例えば、家族状況等に関する情報)は、第3号の個人情報で判断 する。
3 「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」
(1) 「権利、競争上の地位その他正当な利益」
   「権利」とは、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等、法的保護に値する権利一切を指す。
  「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位を指す。
   「その他正当な利益」とは、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含むものである。
 (2) 「害するおそれ」
「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益にも  様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の憲法上 の権利(信教の自由、学問の自由等)の保護の必要性、当該法人等又は事業を営む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断する 必要がある。
「おそれ」の判断に当たっては、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。
4 「法人その他の団体(県、国、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報」には、法令等に基づいて収集した情報だけではなく、法人等又は事業を営む個人から任意に提供された情報も含まれる。なお、任意に提供された情報が不開示条件付きのものであるときは、第8号(任意提供情報)の該当性についての検討も必要となる。
5 本号に該当すると考えられる情報の例としては、次のようなものがある。
ア 生産技術、営業、販売等に関する情報
    (例:製造方法概要書、設備配置図、取引先名簿、販売計画書)
イ 経営方針、経理、金融、人事、労務管理等の事業活動を行う上での内部管理に属する情報
    (例:総会・理事会・役員会の議事録、企業診断書、納税証明書)
ウ その他公にすることにより、法人等又は事業を営む個人の名誉、社会的評価、社会的信用を損ない、あるいは、社会活動の自由等に支障を与えるおそれがある情報
    (例:金融機関の立入検査実施結果報告書、商品に係る苦情相談処理文書)
6 「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。」(ただし書)
(1) 法人等又は事業を営む個人の事業活動上の利益は十分に保護されなければならないが、その事業活動によって、人の生命、健康、生活又は財産に危害が生じ、又は生ずるおそれがある場合には、危害の拡大防止、再発防止又は未然防止を図るため、事業情報を開示することが必要となる場合がある。
このため、本号ただし書では、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、開示することとしたものであ
 (2) 本号のただし書は、第3号ロと同様に、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならないとするものである。
     現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。また、当該事業活動が違法又は不当であるか否かを問わないものである。なお、法人等又は事業を営む個人の事業活動と人の生命、健康等に対する危害等との明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害等の発生が予想される場合もあり得る。

第7条第5号〔公共安全等情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれがある情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 犯罪の予防、捜査等の公共の安全と秩序の維持に関する情報については、開示・不開示の判断に専門的・技術的判断を要することなどから、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報を不開示とするものである。
これらの情報は、いわゆる警察・公安に関する情報であり、公安委員会及び警察本部長が保有するものが多いが、公安委員会及び警察本部長以外の県の機関にも、次のような情報があることから、本号を規定したものである。
ア 個別法において特定の犯罪についてのみ司法警察職員としての職務を行うことができる麻薬取締員(麻薬及び向精神薬取締法第54条)、漁業監督吏員(漁業法第74条)等の職員が職務上作成・取得した情報
イ 犯罪捜査と関連のある捜査関係事項照会・回答文書(刑事訴訟法第197条)、犯罪の告発に関する情報(同法第239条)
ウ 犯罪の予防、捜査等に直接関連するものではないが、開示されると犯罪を誘発し、あるいは容易にするおそれがある情報(火薬庫設置許可申請書等)
【解釈・運用】
1 「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持」
 (1) 「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行」は、「公共の安全と秩序の維持」の例示である。
   「犯罪の予防」とは、犯罪の発生を未然に防止することをいう。なお、県民の防犯意識の啓発、防犯資機材の普及等、一般に公にしても犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがない防犯活動に関する情報については、本号に該当しない。
  「犯罪の鎮圧」とは、犯罪が正に発生しようとするのを未然に防止したり、犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、又は終息させることをいう。
  「犯罪の捜査」とは、捜査機関が犯罪があると思料するときに、公訴の提起などのために犯人及び証拠を発見・収集・保全することをいう。犯罪捜査の権限を有する者は、刑事訴訟法によれば、検察官、検察事務官及び司法警察職員であり、司法警察職員には、一般司法警察職員と特別司法警察職員とがある。
「公訴の維持」とは、検察官が裁判所に対し、特定の刑事事件について審判を求める意思表示をすることを内容とする訴訟行為を公訴の提起というが、この提起された公訴の目的を達成するため、終局判決を得るまでに検察官が行う公判廷における主張・立証、公判準備などの活動を指す。
  「刑の執行」とは、犯罪に対して科される制裁を刑といい、刑法第2章に規定された死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料、没収、追徴及び労役場留置の刑又は処分を具体的に実施することをいう。保護観察、勾留の執行、保護処分の執行、観護措置の執行、補導処分の執行、監置の執行についても、刑の執行に密接に関連するものでもあることから、公にすることにより保護観察等に支障を及ぼし、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報は、本号に該当する。
(2) ここでいう「公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表される刑事法の執行を中心と したものを意味する。
刑事訴訟法以外の特別法により、臨検・捜索・差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査、独占禁止法違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体(無差別大量殺人行為を行った団体を含む。)の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続に関する情報であって、公にすることにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるものは、本号に含まれる。
   また、公にすることにより、テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害や、特定の建造物又はシステムへの不法な侵入・破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがある情報や被疑者・被告人の留置・勾留に関する施設保安に支障を生ずるおそれのある情報も、本号に含まれる。
   一方、風俗営業等の許可、伝染病予防、食品、環境、薬事等の衛生監視、建築規制、災害警備等の、一般に公にしても犯罪の予防、鎮圧等に支障が生ずるおそれのない行政警察活動に関する情報については、本号ではなく、第7号の事務又は事業に関する不開示情報の規定により開示・不開示が判断されることになる。
2  「・・・おそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」 
  公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧、捜査等の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報については、その性質上、開示・不開示の判断に犯罪等等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、司法審査の場においては、裁判所が、本号に規定する情報に該当するかどうかについての実施機関の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるか(「相当の理由」があるか)否かについて審理・判断するのが適当であり、このような規定振りとしているものである。
3  本号に該当すると考えられる情報の例としては、次のようなものがある。
ア 犯罪の捜査等の事実等に関する情報
    (例:捜査関係事項照会・回答文書、麻薬・覚醒剤協力捜査報告書)
イ 犯罪目標となることが予想される施設の所在等に関する情報
    (例:高圧ガス施設・設備配置図、毒物・劇物製造業登録台帳)
ウ 犯罪の被疑者、参考人等が特定され、その結果、これらの人々の生命、身体等に危害が加えられ、又はその地位若しくは正常な生活が脅かされるおそれがある情報
    (例:被疑者及び参考人の住所、氏名等)
エ 犯罪等の情報の通報者、告発者等が特定され、その結果、これらの人々の地位又は正常な生活が脅かされるおそれがある情報
    (例:犯罪等の情報提供者の住所、氏名等)
ウ 特定個人の行動予定、家屋の構造等が明らかにされ、その結果、これらの人々が犯罪の被害者となるおそれがある情報
    (例:来賓来県スケジュール、住宅の間取図)

○第7条第6号〔審議検討等情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、県の機関、国の機関、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体の機関の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 「県の有するその諸活動を県民に説明する責務」及び「公正で民主的な県政の推進」 の観点からすれば、県の機関の内部又は相互間における審議、検討又は協議といった県の意思決定等にかかわる情報は、できる限り公にされることが望まれる。
しかし、これらの情報の中には、時期尚早な段階で公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受け率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれたり、未成熟な情報が確定情報と誤認され県民の間に混乱を生じさせたり、投機等により特定の者に利益を与えたり不利益を及ぼすものがある。これは、国の機関、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体の機関の場合についても、同様である。
このため、本号では、このような情報を不開示とすることとしたものである。
【解釈・運用】
1 「県の機関、国の機関、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体」
  「県の機関」とは、県のすべての機関をいい、執行機関、議決機関、警察本部長及び補助機関のほか、執行機関の附属機関も含まれる。
  「国の機関」とは、第2号の解釈と同義である。
  「県以外の地方公共団体」とは、青森県以外の都道府県、市町村、特別区、地方公共団体の組合、財産区及び地方開発事業団をいう。
2 「県の機関、国の機関、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体の機関の内部又は相互間」
  県、国、独立行政法人等及び県以外の地方公共団体のそれぞれの機関の内部のほか、県の機関の相互間、県の機関と国の機関との相互間、国の機関と県以外の地方公共団体の機関との相互間などを指す。
3 「審議、検討又は協議に関する情報」
  県の機関、国の機関(国会、内閣、裁判所及び会計検査院(これらに属する機関を含む。)を指す。)、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の機関の事務及び事業について意思決定が行われる場合に、その決定に至るまでの過程においては、例えば、具体的な意思決定の前段階としての政策等の選択肢に関する自由討議のようなものから、一定の責任者の段階での意思統一を図るための協議や打合せ、決裁を前提とした説明や検討、審議会等又は行政機関が開催する有識者、関係法人等を交えた研究会等における審議や検討など、様々な審議、検討及び協議が行われており、これら各段階において行われる審議、検討又は協議に関連して作成され、又は取得された情報をいう。
4 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」
  公にすることにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合を想定したもので、適正な意思決定手続の確保を保護利益とするものである。
  例えば、審議、検討等の場における発言内容が公になると、発言者やその家族に対して危害が及びおそれがある場合には、第5号等の他の不開示情報に該当する可能性もあるが、「率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれ」が生じたり、また、行政機関内部の政策の検討がまだ十分でない情報が公になり、外部からの圧力により当該政策に不当な影響を受けるおそれがあり、「意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」が生じたりすることのないようにする趣旨である。
5 「不当に県民等の間に混乱を生じさせるおそれ」
  未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、県民等の誤解や憶測を招き、不当に県民等の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が公にされることによる県民等への不当な影響が生じないようにする趣旨である。
  例えば、特定の物資が将来不足することが見込まれることから、政府として取引の規制が検討されている段階で、その検討情報を公にすれば、買い占め、売り惜しみ等が起こるおそれがある場合に、「県民等の間に不当な混乱」を生じさせたりすることのないようにする趣旨である。
6 「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」
  尚早な時期に情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、投機を助長するなどして、特定の者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす場合を想定したもので、前記5と同様に、事務及び事業の公正な遂行を図るとともに、県民等への不当な影響が生じないようにする趣旨である。
  例えば、施設等の建設計画の検討状況に関する情報が開示されたために、土地の買い占めが行われて土地が高騰し、開示を受けた者等が不当な利益を得たり、違法行為の事実関係についての調査中の情報が開示されたために、結果的に違法・不当な行為を行っていなかった者が不利益を被ったりしないようにする趣旨である。
7 「不当に」
  前記4、5及び6のおそれの「不当に」とは、審議、検討等途中の段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものを意味する。予想される支障が「不当」なものかどうかの判断は、当該情報の性質に照らし、公にすることによる利益と不開示にすることによる利益とを比較衡量した上で判断される。
8 合議制機関の規程又は議決により会議の非公開を定めている場合であっても、そのことをもって当然に、当該合議制機関の会議に係る審議資料、会議録等が不開示となるものではない。当該合議制機関の性質及び審議事項の内容に照らし、個別具体的に、本号の要件に該当するか否かを判断しなければならない。
9 意思決定後の取扱い等
  審議、検討等に関する情報については、機関又は法人としての意思決定が行われた後は、一般的には、当該意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなることから、本号の不開示情報に該当する場合は少なくなるものと考えられるが、当該意思決定が政策決定の一部の構成要素であったり、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合には、当該意思決定後であっても、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関して本号に該当するかどうかの検討が行われるものであることに注意が必要である。また、当該審議、検討等に関する情報が公になると、審議、検討等が終了し意思決定が行われた後であっても、県民等の間に混乱を生じさせたり、将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある場合等があれば、本号に該当し得る。
   なお、審議、検討等に関する情報の中に、調査データ等で特定の事実を記録した情報があった場合、例えば、当該情報が専門的な検討を経た調査データ等の客観的、科学的事実やこれに基づく分析等を記録したものであれば、一般的に本号に該当する可能性が低いものと考えられる。
10 本号に該当すると考えられる情報の例としては、次のようなものがある。
ア 議決前の予算要求見積書、組織・機構編成過程文書
イ 庁内事務担当者会議の会議資料・会議録等
ウ 生活保護法による生活扶助の特別基準の設定に関する協議中の文書
エ 大規模小売店舗関係調査文書、薬事経済調査
オ 公表前のラスパイレス指数変動分析調査資料
カ 公表前の地価公示価格及び叙勲受賞者名簿

○第7条第7号〔事務事業情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、県の機関、国の機関、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の機関が行う事務又は事業に関する情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 県の機関、国の機関、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の機関が行う事務又は事業は、公共の利益のために行われるものであり、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、不開示とする合理的な理由がある。
このため、本号では、このような情報を、不開示とすることとしたものである。
【解釈・運用】
1 県の機関、国の機関、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の機関が行う事務又は事業は広範かつ多種多様であり、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれのある事務又は事業の情報を事項的にすべて列挙することは技術的に困難であり、実益も乏しい。そのため、各機関共通的に見られる事務又は事業に関する情報であって、公にすることによりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むことが容易に想定されるものを「次に掲げるおそれ」として「イ」から「ホ」まで例示的に掲げた上で、これらのおそれ以外については、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」として包括的に規定したものである。
2 「次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」
  「次に掲げるおそれ」として「イ」から「ホ」までに掲げたものは、各機関共通的に見られる事務又は事業に関する情報であって、その性質上、公にすることにより、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な支障を挙げたものである。これらの事務又は事業のほかにも、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業であって、ある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があり得る。
3 「国の機関」とは、第2号の解釈と、また「県の機関」及び「県以外の地方公共団体」とは、第6号の解釈と同義である。
4 「当該事務又は事業の性質上」とは、当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断する趣旨である。
5 「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」
  本規定は、実施機関に広範な裁量権限を与える趣旨ではなく、各規定の要件の該当性を客観的に判断する必要があり、また、事務又は事業がその根拠となる規定・趣旨に照らし、公益的な開示の必要性等の種々の利益を衡量した上での「適正な遂行」と言えるものであることが求められる。
  「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が要求される。
6 イについて
(1)  「監査」とは、主として監察的見地から、事務又は事業の執行又は財産の状況の正否を調べることをいう。
(2) 「検査」とは、法令の執行確認、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類その他の物件等を調べることをいう。
(3)  「取締り」とは、行政上の目的による一定の行為の禁止又は制限について適法、適正な状態を確保することをいう。
(4)  「試験」とは、人の知識、能力、物の性能等を試すことをいう。
(5) 「租税の賦課若しくは徴収」
   「租税」には、国税及び地方税がある。「賦課」とは、国又は地方公共団体が、公租公課を特定の人に割り当てて負担させることをいい、「徴収」とは、国又は地方公共団体が、租税その他の収入金を取ることをいう。
(6) 「正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」

   前記の監査等は、いずれも事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えて、一定の決定を伴うことがある事務である。
   これらの事務に関する情報の中には、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報や、試験問題等のように、事前に公にすれば、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、監査等の対象となる者等による法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したり、巧妙に行うことにより隠蔽をするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とするものである。
   また、事後であっても、例えば、違反事例等の詳細についてこれを公にすると他の監査等の対象となる者等に法規制を免れる方法を示唆するようなものは該当し得ると考えられる。
7 ロについて
(1)  「契約」とは、相手方との意思表示の合致により法律行為を成立させることをいう。
(2) 「交渉」とは、当事者が、対等の立場において相互の利害関係事項に関し一定の結論を得るために協議、調整などの折衝を行うことをいう。
(3)  「争訴」とは、訴えを起こして争うことをいう。訴訟、行政不服審査法に基づく不服申立てその他の法令に基づく不服申立てがある。
(4)  「県、国、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」
県、国、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体が一方の当事者となる上記の契約等においては、自己の意思により又は訴訟手続上、相手方と対等な立場で遂行する必要があり、当事者としての利益を保護する必要がある。
これらの契約等に関する情報の中には、例えば、入札予定価格等を公にすることにより公正な競争により形成されるべき適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれたり、交渉や争訴等の対処方針等を公にすることにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれがあるものがあり、このような情報については不開示とするものである。
8 ハについて
  県の機関、国の機関、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の機関が行う調査研究(ある事柄を調べ、真理を探究すること)の成果については、社会、県民等にあまねく還元することが原則であるが、成果を上げるためには、従事する職員が、その発想、創意工夫等を最大限に発揮できるようにすることも重要である。
  調査研究に係る事務に関する情報の中には、例えば、①知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階の情報などで、一定の期日以前に公にすることにより成果を適正に広く県民等に提供する目的を損ね、特定の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれがあるもの、②試行錯誤の段階のものについて、公にすることにより、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある場合があり、このような情報を不開示とするものである。
9 ニについて
  県の機関、国の機関、独立行政法人等又は県以外の地方公共団体の機関が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分や能力等の管理に関すること)に係る事務については、当該機関の組織としての維持の観点から行われ、一定の範囲で当該組織の独自性を有するものである。
  人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評価や、人事異動、昇格等の人事構想等を公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、このような情報を不開示とするものである。
10 ホについて
  県、国若しくは県以外の地方公共団体が経営する企業(地方公営企業法第2条の適用を受ける企業等をいう。)又は独立行政法人等に係る事業については、企業経営という事業の性質上、第4号の法人等に関する情報と同様な考え方で、その正当な利益を保護する必要があり、これを害するおそれがあるものを不開示とするものである。ただし、正当な利益の内容については、経営主体、事業の性格、内容等に応じて判断する必要があり、その開示の範囲は第4号の法人等とでは当然異なり、県、国若しくは県以外の地方公共団体が経営する企業又は独立行政法人等に係る事業に関する情報の不開示の範囲は、より狭いものとなる場合があり得る。

○第7条第8号〔任意提供情報〕関係
【趣旨】
1 本号は、個人又は法人等が、実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に実施機関に提供した情報についての不開示情報としての要件を定めたものである。
2 個人及び法人等に関する情報の中には、一般にはまだ知られていない情報、内部管理情報、特別の情報源から得た情報等、通例、他人に提供されないか、又は公にしないことを前提としなければ他人に提供されないものがある。このような情報が実施機関の要請に応じて任意に提供され、実施機関がこれを保有することとなった場合に、実施機関が保有していることのみを理由として、当然に他人に対しても開示されるとするのは合理的でない。
このため、本号では、実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に実施機関に提供した情報であって、公にしないという条件を付することに一定の合理性が認められるものについては、開示しないこととしたものである。よって、任意に提供された情報のすべてが本号に該当するというわけではない。
【解釈・運用】
1 「個人」には、事業を営む個人も含まれる。また、「法人等」には、県、国及び県以外の地方公共団体が含まれないことに留意しなければならない。
2 「実施機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供した情報」とは、実施機関が、事務又は事業を実施する上で必要であるため、法的権限の行使によらずに、個人又は法人等に情報の提供を要請し、個人又は法人等が公にしないとの条件でこれに応じて任意に提供した情報をいう。つまり、実施機関において、当該情報の提供を求める法的権限を有しており、かつ、権限を行使することにより提供された情報、あるいは、実施機関からの要請がないにもかかわらず、個人又は法人等が自発的に提供した情報については本号が適用されない。ただし、個人又は法人等から提供申出があった情報であっても、提供に先立ち、個人又は法人等から非公開の条件が提示され、実施機関が合理的理由があるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合には、含まれ得ると解する。
  「要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は含まれないが、実施機関が報告徴収権限を有する場合でも、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合は含まれる。
3 「公にしない」とは、本条例に基づく開示請求に対して開示しないことのほか、第三者に対して当該情報を提供しない意味である。また、特定の行政目的以外の目的には使用しないとの条件で情報の提供を受ける場合も通常含まれる。
  「公にしないとの条件」とは、単に情報提供者から、そのような要請があったことだけでは足りず、その要請を実施機関が了解したものでなければならない。
4 「当該個人又は法人等における通例として」とは、当該個人又は法人等ではなく当該個人又は法人等が属する社会、業界、業種の通常の慣行に照らして判断することを意味する。したがって、当該個人又は法人等が公にしないことが通例であると主張しさえすれば足りるわけではなく、客観的に見て、当該個人又は法人等が属する社会、業界、業種において、公にしない慣行が存在するかどうかを判断しなければならないものである。 
5 「当時の状況等に照らして」とは、公にしないとの条件を付することの合理性の判断は、当該条件が付された時点における諸事情を基本として行うが、場合によっては、その後の事情の変更を勘案して判断する場合もあることを意味している。
6 「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる」とは、第3号ロ及び第4号ただし書の解釈と同義である。
7 任意提供情報に対する当該個人等からの開示請求の取扱い
本条例は、開示請求者がどのような立場にあるかに関係なく同一に適用するものである。したがって、情報提供をした個人又は法人等から、当該個人又は法人等に関する情報が記録された行政文書について開示請求がなされた場合であっても、これら以外の者からなされた開示請求の場合と同様に取り扱うものであり、本号に該当する限り、不開示となるものである。

○第8条(部分開示)関係
【趣旨】
1 本条第1項は、開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合であっても、原則開示の趣旨から、当該行政文書の全体について不開示とするのではなく、原則として、不開示情報が記録されている部分を除き、当該行政文書のその他の部分については、開示しなければならない旨を定めたものである。
2 第2項は、個人に関する情報のうち個人識別性を理由とするものについては、当該個人識別性のある部分を除いて開示することが可能な場合があることから、そのような場合には、当該個人識別性のある部分を除いた部分を開示することを明確にしたものである。
【解釈・運用】
1 不開示情報が記録されている場合の部分開示(第1項)
(1)  「開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合」
  一件の行政文書に複数の情報が記録されている場合に、各情報ごとに、第7条各号に規定する不開示情報に該当するかどうかを審査した結果、不開示情報に該当する情報がある場合を意味する。
   開示請求は、行政文書単位に行われるものであるため、第7条では行政文書に全く不開示情報が記録されていない場合の開示義務を定めているが、本項の規定により、実施機関は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合に、部分的に開示できるか否かの判断を行わなければならないことになる。
(2) 「容易に区分して除くことができるとき」
「容易に区分して除くことができるとき」とは、不開示情報が記録されている部分を容易に区分でき、かつ、当該部分を容易に除くことが  できる場合を指す。
    したがって、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の部分とを容易に区分できない場合や、容易に区分できる場合であっても、 不開示情報が記録されている部分を容易に除くことができないとき(電磁的記録の中には、このように区分することが容易でも、除くこと  が技術的に困難なものがあり得る。)は、部分開示する義務は生じず、行政文書の全部を開示しない旨の決定を行うこととなる。
  「容易に」とは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の部分とを区分し、不開示情報が記録されている部分を除く場合に、行政  文書を汚損し、又は破損することなく、かつ、過度な費用を要しないことをいう。
イ 文書の記載の一部を除くことは、コピー機で作成したその複写物に墨を塗り再複写するなどして行うことができ、一般的には容易であると考えられる。なお、部分開示の作業に多くの時間・労力を要するからといって、それが直ちに、区分し、分離することが困難であるということにはならない。
一方、録音、録画、磁気ディスクに記録されたデータベース等の電磁的記録については、区分して除くことの容易性が問題となる。例えば、複数の人の発言が同時に録音されているがそのうち一部の発言内容のみに不開示情報が含まれている場合や、録画されている映像中に不開示情報が含まれている場合などでは、不開示情報部分のみを除去することが容易ではないことがあり得る。このような場合には、容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定することになる。
   なお、電磁的記録について、不開示部分と開示部分の分離が既存のプログラムでは行えない場合は、「容易に区分して除くことができない場合」に該当する。
(3) 「当該部分を除いた部分につき開示しなければならない」
 ア 部分的に削除すべき範囲は、文書であれば、一般的には、文、段落等、表であれば個々の欄等を単位として判断することをもって足りるとしたものである。
 イ 本項は、義務的に開示すべき範囲を定めているものであり、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、実施機関の条例の目的に沿った合目的的な裁量にゆだねられている。すなわち、不開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗る か、文字が判読できない程度に被覆するかなどの方法の選択は、不開示情報を開示した結果とならない範囲内において、当該方法を講 ずることの容易さ等を考慮して判断することとなる。
(4) 「有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りではない。」
ア 「有意の情報が記録されていないと認められるとき」とは、不開示情報が記録されている部分を除いた残りの部分に記載されている情報の内容が、開示をしても意味がないと認められる場合を意味する。例えば、残りの部分に記載されている内容が、無意味な文字、数字等の羅列となる場合等である。
この「有意」性の判断に当たっては、同時に開示される他の情報があればこれも併せて判断されるべきである。
イ また、「有意」性の判断は、請求の趣旨を損なうか否か、すなわち、開示請求者が知りたいと考える事柄との関連によって判断すべきものではなく、本条では、個々の請求者の意図によらず、客観的に決めるべきものである。
2  個人識別情報が記録されている場合の部分開示(第2項)
(1) 第1項は、行政文書の中に不開示情報と不開示情報ではない情報が混在する場合における部分開示を規定しているのに対し、本項は、「個人情報」という一つの不開示情報の中において、さらに部分開示を行うものである。
(2) 「開示請求に係る行政文書に前条第3号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合」
    ア 第1項の規定は、行政文書に記録されている情報のうち、不開示情報ではない情報の記載部分の開示義務を規定しているが、ひとまとまりの不開示情報のうちの一部を削除した残りの部分を開示することの根拠条項とはならない。
      個人識別情報は、通常、個人を識別させる部分(例えば、氏名)とその他の部分(例えば、当該個人の行動記録)とから成り立っており、その全体が一つの不開示情報を構成するものである。
       このため、本項は、第1項の規定だけでは個人識別情報については全体として不開示となることから、氏名等の部分だけを削除して残りの部分を開示しても個人の権利利益保護の観点から支障が生じないときには、第1項の規定を適用し部分開示とすることとしたものである。
    イ 「特定の個人を識別することができるものに限る。」こととしているのは、「特定の個人を識別することはできないが、公にすることによりなお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(第7条第3号本文の後半部分)については、「特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くこと」にはならないので、他の不開示情報の類型と同様に不開示情報が記録されている部分を除いた部分につき開示することとなるためである。
(3) 「当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」
個人を識別させる要素を除去することにより誰の情報であるかが分からなくなれば、残りの部分については、通常、個人情報としての保 護の必要性は乏しくなるが、個人識別性のある部分を除いても、開示することが不適当であると認められるものもある。
例えば、カルテ、作文などの個人の人格と密接に関連する情報や、個人の未公表の研究論文等開示すると個人の権利利益を害するおそれがあるものである。
このため、個人を識別させる部分を除いた部分について、公にしても、個人の権利利益を害するおそれがないものに限り、部分開示の 規定を適用することとしている。
(4) 「当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」
第1項の規定により、部分開示の範囲を決定するに当たっては、個人識別情報のうち、特定の個人を識別することができることとなる記述等以外の部分は、個人の権利利益を害するおそれがない限り、第7条第3号に規定する不開示情報ではないものとして取り扱うことになる。したがって、他の不開示情報の規定に該当しない限り、当該部分は開示されることになる。
    また、第1項の規定を適用するに当たっては、容易に区分して除くことができるかどうかが要件となるので、個人を識別させる要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合には、当該個人に関する情報は全体として不開示となることになる。
【事務取扱】
「青森県教育委員会が保有する行政文書の開示等に関する事務取扱要綱」第4の9の(5)参照

○第9条(公益上の理由による裁量的開示)関係
【趣旨】
1 本条は、不開示情報について、実施機関の高度な行政的判断により裁量的開示を行うことができることを定めたものである。
2 第7条各号に定める不開示情報については、基本的に開示してはならないものであるが、このような不開示情報であっても、個々の事例における特殊な事情によっては、開示することの利益が不開示とすることの利益に優越すると認められる場合があり得ることを否定できない。
    このため、本号では、不開示情報であっても、実施機関の高度な行政的判断により裁量的に開示することができることとしたものである。
【解釈・運用】
1 「第7条第1号又は第2号に該当する情報を除く」とは、第1号(法令秘情報)及び第2号(不開示指示情報)に該当する情報については、裁量的開示を行いうる余地がないことから、確認的に規定したものである。
2 「公益上特に必要があると認めるとき」とは、不開示情報の規定により保護される利益に優越する公益上の理由があると認められる場合をいう。なお、「公益」については、個々の事案ごとに異なり得ることから、事案に応じて判断することとなる。
3 本条による裁量的開示を行うに際しては、不開示情報の性質と開示することによる公益とを比較衡量することとなるが、個人に関する情報の場合は、個人の人格的な権利利益を侵害しないよう慎重な配慮をしなければならない。
4 本条の適用については、高度な行政的判断を必要とすることから、決裁に当たっては、このような判断が可能な者をもってこれに当てる等の配慮が必要となる。

○第10条(行政文書の存否に関する情報)関係
【趣旨】
1 本条は、開示請求の拒否処分の一態様として、一定の場合に、実施機関は行政文書の存否自体を明らかにしないで、拒否することができることを定めるものである。
2 実施機関は、開示請求に係る行政文書が存在していれば、行政文書の全部若しくは一部の開示決定又は不開示決定を行い、存在していなければ不開示決定を行うことになる(第11条参照)。したがって、行政文書の不存在を理由とする不開示決定の場合以外の決定では、行政文書の存在が前提となっている。
  しかしながら、開示請求に係る行政文書の存否を明らかにするだけで、第7条各号の不開示情報を開示することとなる場合があり、この場合には、行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否できることとするものである。
【解釈・運用】
1 「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」
  開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第7条各号の不開示情報の類型に応じて生ずると考えられる。
  具体的には、次のような例が考えられる。
  ア 特定の個人の病歴に関する情報(第3号)
  イ 先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第4号)
  ウ 犯罪の内偵捜査に関する情報(第5号)
  エ 買い占めを招くなど県民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物資に関する政策決定の検討状況の情報(第6号)
  オ 特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第7号)
2 「当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる」
  行政文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒否する決定も、申請に対する処分であることから、青森県行政手続条例第8条に基づき、処分の理由を示す必要がある。提示すべき理由の程度としては、開示請求者が拒否の理由を明確に認識し得るものであることが必要であると考えられる。また、個別具体的な理由提示の程度については、当該情報の性質、内容、開示請求書の記載内容等を踏まえ、請求のあった行政文書の存否を答えることにより、どのような不開示情報を開示することになるかをできる限り具体的に提示することになる。 
  また、存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要であり、例えば、行政文書が存在しない場合に不存在と答えて、行政文書が存在する場合にのみ存否を明らかにしないで拒否したのでは、開示請求者に当該行政文書の存在を類推させることになる。
3 本条が適用されるのは、仮に開示請求に係る行政文書が存在する場合には、必ず不開示情報に該当して不開示となるときであり、不開示とならないときは、本条は適用されないものである。
  また、その適用に当たっては、厳格に解釈し、濫用されることのないようにしなければならない。
 【事務取扱】
  「青森県教育委員会が保有する行政文書の開示等に関する事務取扱要綱」第4の6参照

根拠条文等

根拠法令

青森情報公開条例
 (開示請求に対する決定、通知等)
第11条 実施機関は、開示請求があった場合において、開示請求に係る行政文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。ただし、開示請求があった際、直ちに、開示請求に係る行政文書の全部を開示する旨の決定をし、かつ、当該決定に基づき開示する場合にあっては、口頭で告知すれば足りる。
2 実施機関は、開示請求があった場合において、開示請求に係る行政文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る行政文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

基準法令

関連行政指導事項

標準処理期間

経由機関での期間
処理機関での期間 15日
うち協議機関での期間
15日

※ 期間中の県の休日を含む。

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この記事についてのお問い合わせ

教育委員会 職員福利課 総務・健康支援グループ
電話:017-734-9916  FAX:017-734-8276

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