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更新日付:2023年06月23日 林政課

申請に対する処分に関する審査基準・標準処理期間(森林法)

申請に対する処分に関する審査基準・標準処理期間

根拠法令の名称 根拠法令の条項 許認可等の種類 経由機関 処分権者
森林法 第10条の2第1項 開発行為の許可 地域県民局(処分権者が知事の場合に限る。) ①10ha未満の開発行為の場合(鉱業法に関するものを除く。) 地域県民局長(地域農林水産部林業振興課)②上記以外の場合知事(林政課)

審査基準

平成 6年 9月27日制  定
平成 15年 4月11日一部改正
令和 5年 6月26日全部改正

 森林法(昭和26年法律第249号。以下「法」という。)第10条の2第1項に基づく許可については、法、森林法施行令(昭和26年政令第276号)及び森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号。以下「規則」という。)の定めるところによるほか、次の要件を満たすか否かについて審査する。

第1 手続上の要件(規則第4条関係)
 規則第4条に基づく申請書及び添付書類の内容が次に掲げる基準に適合していること。
1 開発行為に関する計画の内容が具体的であり、許可を受けた後遅滞なく申請に係る開発行為を行うことが明らかであること。
2 開発行為に係る森林につき当該開発行為の施行の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていることが明らかであること。
 「相当数の同意を得ていること」とは、開発行為に係る森林につき当該開発行為の施行の妨げとなる権利を有する全ての者の3分の2以上の者から同意を得ており、その他の者についても同意を得ることができると認められることをいう。
3 開発行為又は開発行為に係る事業の実施について他の行政庁の免許、許可、認可その他の処分を必要とする場合には、当該処分がなされているかの確認又は当該処分に係る申請の状況の確認ができること。また、行政庁の処分以外に、環境影響評価法(平成9年法律第81号)又は青森県環境影響評価条例(平成11年12月青森県条例第56号)に基づく環境影響評価手続の対象となる場合には、その手続の状況の確認もできること。
4 申請者に開発行為を行うために必要な資力及び信用があることが明らかであること。特に、防災施設の整備に必要な資金の手当てが可能であることや事業体としての信用があることが明らかであること。

第2 災害を発生させるおそれに関する事項(森林法第10条の2第2項第1号関係)
 次に掲げる基準に適合するものであること。
1 土砂の移動量
 開発行為が原則として現地形に沿って行われること及び開発行為による土砂の移動量が必要最小限度であることが明らかであること。
 スキー場の滑走コースの造成は、その利用形態からみて土砂の移動が周辺に及ぼす影響が比較的大きいと認められるため、その造成に係る切土量は1ヘクタール当たりおおむね1,000立方メートル以下であること。なお、滑走コースは傾斜地を利用するものであることから、切土を行う区域はスキーヤーの安全性の確保等やむを得ないと認められる場合に限り、土砂の移動量を極力縮減したものであること。
 また、ゴルフ場の造成に係る切土量及び盛土量はそれぞれ18ホール当たりおおむね200万立方メートル以下であること。
2 切土、盛土又は捨土
 切土、盛土又は捨土を行う場合には、その工法が法面の安定を確保するものであること及び捨土が適切な箇所で行われること並びに切土、盛土又は捨土を行った後に法面を生ずるときはその法面の勾配が地質、土質及び法面の高さからみて崩壊のおそれのないものであり、かつ、必要に応じて小段又は排水施設の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。その技術的細則は、次に掲げるとおりであること。
(1) 工法等は、次によるものであること。
ア 切土は、原則として階段状に行う等法面の安定が確保されるものであること。
イ 盛土は、必要に応じて水平層にして順次盛り上げ、十分締固めが行われるものであること。
ウ 土石の落下による下斜面等の荒廃を防止する必要がある場合には、柵工の実施等の措置が講ぜられていること。
エ 大規模な切土又は盛土を行う場合には、融雪、豪雨等により災害が生ずるおそれのないように工事時期、工法等について適切に配慮されていること。
(2) 切土は、次によるものであること。
ア 法面の勾配は、地質、土質、切土高、気象及び近傍にある既往の法面の状態等を勘案して、現地に適合した安全なものであること。
イ 土砂の切土高が10メートルを超える場合には、原則として、高さ5メートルないし10メートルごとに小段を設置するほか、必要に応じ排水施設を設置する等崩壊防止の措置が講ぜられていること。
ウ 切土を行った後の地盤に滑りやすい土質の層がある場合には、その地盤にすべりが生じないように杭打ちその他の措置が講ぜられていること。
(3) 盛土は、次によるものであること。
ア 法面の勾配は、盛土材料、盛土高、地形、気象及び近傍にある既往の法面の状態等を勘案して、現地に適合した安全なものであること。
イ 一層の仕上がり厚は、30センチメートル以下とし、その層ごとに締固めを行うとともに、必要に応じて雨水その他の地表水又は地下水を排除するための排水施設の設置等の措置が講ぜられていること。
ウ 盛土高が5メートルを超える場合には、原則として5メートルごとに小段を設置するほか、必要に応じて排水施設を設置する等崩壊防止の措置が講ぜられていること。
エ 盛土がすべり、ゆるみ、沈下し、又は崩壊するおそれがある場合には、盛土を行う前の地盤の段切り、地盤の土の入れ替え、埋設工の施行、排水施設の設置等の措置が講ぜられていること。
(4) 捨土は、次によるものであること。
ア 捨土は、土捨場を設置し、土砂の流出防止措置を講じて行われるものであること。この場合における土捨場の位置は、急傾斜地、湧水の生じている箇所等を避け、人家又は公共施設との位置関係を考慮の上設定されているものであること。
イ 法面の勾配の設定、締固めの方法、小段の設置、排水施設の設置等は、盛土に準じて行われ、土砂の流出のおそれがないものであること。
3 法面崩壊防止の措置
 切土、盛土又は捨土を行った後の法面の勾配が2によることが困難である場合若しくは適当でない場合又は周辺の土地利用の実態からみて必要がある場合には、擁壁の設置その他の法面崩壊防止の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。その技術的細則は、次に掲げるとおりであること。
(1) 「周辺の土地利用の実態からみて必要がある場合」とは、人家、学校、道路等に近接し、かつ、次のア又はイに該当する場合をいう。ただし、土質試験等に基づき地盤の安定計算をした結果、法面の安定を保つために擁壁等の設置が必要でないと認められる場合には、これに該当しない。
ア 切土により生ずる法面の勾配が30度より急で、かつ、高さが2メートルを超える場合。ただし、硬岩盤である場合又は次の(ア)若しくは(イ)のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
(ア) 土質が表1の左欄に掲げるものに該当し、かつ、土質に応じた法面の勾配が同表中欄の角度以下のものである場合。
(イ) 土質が表1の左欄に掲げるものに該当し、かつ、土質に応じた法面の勾配が同表中欄の角度を超え、同表右欄の角度以下のもので、その高さが5メートル以下のものである場合。この場合において、(ア)に該当する法面の部分により上下に分離された法面があるときは、(ア)に該当する法面の部分は存在せず、その上下の法面は連続しているものとみなす。

表1

土質 擁壁等を要しないこう配の上限 擁壁等を要するこう配の下限
軟岩
(風化の著しいものを除く。)
60度 80度
風化の著しい岩 40度 50度
砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土、その他これらに類するもの 35度 45度

イ 盛土により生ずる法面の勾配が30度より急で、かつ、高さが1メートルを超える場合
(2) 擁壁の構造は、次によるものであること。
ア 土圧、水圧及び自重(以下「土圧等」という。)によって擁壁が破壊されないこと。
イ 土圧等によって擁壁が転倒しないこと。この場合において、安全率は1.5以上であること。
ウ 土圧等によって擁壁が滑動しないこと。この場合において、安全率は1.5以上であること。
エ 土圧等によって擁壁が沈下しないこと。
オ 擁壁には、その裏面の排水を良くするため、適正な水抜穴が設けられていること。
4 法面保護の措置
 切土、盛土又は捨土を行った後の法面が雨水、渓流等により浸食されるおそれがある場合には、法面保護の措置が講ぜられることが明らかであること。その技術的細則は、次に掲げるとおりであること。
(1) 植生による保護(実播工、伏工、筋工、植栽工等)が原則であり、植生による保護が適さない場合又は植生による保護だけでは法面の侵食を防止できない場合には、人工材料による適切な保護(吹付工、張工、法枠工、柵工、網工等)が行われるものであること。工種は、土質、気象条件等を考慮して決定され、適期に施行されるものであること。
(2) 表面水、湧水、溪流等により法面が侵食され又は崩壊するおそれがある場合には、排水施設又は擁壁の設置等の措置が講ぜられるものであること。この場合における擁壁の構造は、3の(2)によるものであること。
5 土砂流出防止の措置
 開発行為に伴い相当量の土砂が流出する等の下流地域に災害が発生するおそれがある区域が事業区域(開発行為をしようとする森林又は緑地その他の区域をいう。以下同じ。)に含まれる場合には、開発行為に先行して十分な容量及び構造を有するえん堤等の設置、森林の残置等の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。その技術的細則は、次に掲げるとおりであること。
(1) えん堤等の容量は、次のア及びイにより算定された開発行為に係る土地の区域からの流出土砂量を貯砂し得るものであること。
ア 開発行為の施行期間中における流出土砂量は、開発行為に係る土地の区域1ヘクタール当たり1年間に、特に目立った表面侵食のおそれが見られない場合では200立方メートル、ぜい弱な土壌で全面的に侵食のおそれが高い場合では600立方メートル、それ以外の場合では400立方メートルとするなど、地形、地質、気象等を考慮の上適切に定められたものであること。
イ 開発行為の終了後において、地形、地被状態等からみて、地表が安定するまでの期間に相当量の土砂の流出が想定される場合には、別途積算されたものであること。
(2) えん堤等の設置箇所は、極力土砂の流出地点に近接した位置であること。
(3) えん堤等の構造は、「治山技術基準」(昭和46年3月13日付け46林野治第648号林野庁長官通達)によるものであること。
(4) 「災害が発生するおそれがある区域」とは表2に掲げる区域を含む土地の範囲をいうが、災害の特性を踏まえ、次のア及びイを目安に現地の荒廃状況に応じて判断されていること。
 なお、表2に掲げる区域以外であっても、同様のおそれがある区域については「災害が発生するおそれがある区域」に含まれていること。
ア 山腹崩壊や急傾斜地の崩壊、地すべりに関する区域については、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号。以下「土砂災害防止法」という。)の土砂災害警戒区域の考え方を基本としていること。
イ 土石流に関する区域については、原則として、土石流の発生の危険性が認められる渓流を含む流域全体とすること。ただし、土石流が発生した場合において、地形の状況により明らかに土石流が到達しないと認められる土地の区域は除かれる。

表2
区域の名称
根拠とする法令等
砂防指定地 砂防法(明治30年法律第29号)
急傾斜地崩壊危険区域 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)
地すべり防止区域 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)
土砂災害警戒区域 土砂災害防止法
災害危険区域 建築基準法(昭和25年法律第201号)
山腹崩壊危険地区
山地災害危険地区調査要領(平成18年7月3日付け18林整治第520号林野庁長官通知)
地すべり危険地区
崩壊土砂流出危険地区

(5) なだれ危険箇所点検調査要領(平成9年4月23日付け9林野治第895号林野庁長官通知)に基づくなだれ危険箇所に係る森林を事業区域に含む場合についても、開発区域に先行して周囲へのなだれ防止措置について検討し、必要な措置が講じられていること。
6 排水施設
 雨水等を適切に排水しなければ災害が発生するおそれがある場合には、十分な能力及び構造を有する排水施設が設けられることが明らかであること。その技術的細則は、次に掲げるとおりであること。
(1) 排水施設の断面は、次によるものであること。
ア 排水施設の断面は、計画流量の排水が可能になるように余裕をみて定められていること。この場合、計画流量は次の(ア)及び(イ)により、流量は原則としてマニング式により求められていること。
(ア) 排水施設の計画に用いる雨水流出量は、原則として次式により算出されていること。ただし、降雨量と流出量の関係が別途高い精度で求められている場合には、単位図法等によって算出されたものであってもよいこと。

       1 
 Q = ――― ・ f ・ r ・ A
        360
 Q:雨水流出量(m3/sec)
 f:流出係数
 r:設計雨量強度(mm/hour)
 A:集水区域面積(ha)

(イ) 前式の適用に当たっては、次によるものであること。
a 流出係数は、表3を参考にして定められていること。浸透能は、地形、地質、土壌等の条件によって決定されるものであるが、表3の区分の適用については、おおむね、山岳地は浸透能小、丘陵地は浸透能中、平地は浸透能大としてよいこと。
b 設計雨量強度は、cによる単位時間内の10年確率で想定される雨量強度とされていること。ただし、人家等の人命に関わる保全対象が事業区域に隣接している場合など排水施設の周囲にいっ水した際に保全対象に大きな被害を及ぼすことが見込まれる場合については、20年確率で想定される雨量強度が用いられ、水防法(昭和24年法律第193号)第15条第1項第4号のロ又は土砂災害防止法第8条第1項第4号に規定する要配慮者利用施設等の災害発生時の避難に特別の配慮が必要となるような重要な保全対象がある場合は、30年確率で想定される雨量強度が用いられていること。
c 単位時間は、到達時間を勘案して定めた表4を参考として用いられていること。

表3
      区分

地表状態 
        浸透能小         浸透能中         浸透能大
林 地
0.6~0.7 0.5~0.6 0.3~0.5
草 地
0.7~0.8 0.6~0.7 0.4~0.6
耕 地
   - 0.7~0.8 0.5~0.7
裸 地
1.0 0.9~1.0 0.8~0.9

表4
流域面積
単位時間
50ヘクタール以下
10分
100ヘクタール以下
20分
500ヘクタール以下
30分

イ 雨水のほか土砂等の流入が見込まれる場合又は排水施設の設置箇所からみていっ水による影響の大きい場合にあっては、排水施設の断面は、必要に応じてアに定めるものより一定程度大きく定められていること。
ウ 洪水調節池の下流に位置する排水施設については、洪水調節池からの許容放流量を安全に流下させることができる断面とされていること。
(2) 排水施設の構造等は、次によるものであること。
ア 排水施設は、立地条件等を勘案して、その目的及び必要性に応じた堅固で耐久力を有する構造であり、漏水が最小限度となるよう措置されていること。
イ 排水施設のうち暗きょである構造の部分には、維持管理上必要なます又はマンホールの設置等の措置が講ぜられていること。
ウ 放流によって地盤が洗掘されるおそれがある場合には、水叩きの設置その他の措置が適切に講ぜられていること。
エ 排水施設は、排水量が少なく土砂の流出又は崩壊を発生させるおそれがない場合を除き、排水を河川等まで導くように計画されていること。
 ただし、河川等に排水を導く場合には、増加した流水が河川等の管理に及ぼす影響を考慮するため、当該河川等の管理者の同意を得ているものであること。特に、用水路等を経由して河川等に排水を導く場合には、当該施設の管理者の同意に加え、当該施設が接続する下流の河川等において安全に流下できるよう併せて当該河川等の管理者の同意を得ているものであること。
7 洪水調節池等の設置等
 下流の流下能力を超える水量が排水されることにより災害が発生するおそれがある場合には、洪水調節池等の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。その技術的細則は、次に掲げるとおりであること。
(1) 洪水調節容量は、下流における流下能力を考慮の上、原則として、30年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を開発前のピーク流量以下にまで調節できるものであること。
 ただし、排水を導く河川等の管理者との協議において必要と認められる場合には、50年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を開発前のピーク流量以下にまで調節できるものであること。
 また、開発行為の施行期間中における洪水調節池の堆砂量を見込む場合にあっては、開発行為に係る土地の区域1ヘクタール当たり1年間に、特に目立った表面侵食のおそれが見られないときには200立方メートル、ぜい弱な土壌で全面的に侵食のおそれが高いときには600立方メートル、それ以外のときには400立方メートルとしているなど、流域の地形、地質、土地利用の状況、気象等に応じて必要な堆砂量としていること。
 なお、「下流における流下能力を考慮の上」とは、開発行為の施行前において既に3年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量が下流における流下能力を超えるか否かを調査の上、必要があれば、この流下能力を超える流量も調節できる容量とする趣旨である。
(2) 余水吐の能力は、コンクリートダムにあっては200年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量の1.2倍以上、フィルダムにあってはコンクリートダムの余水吐の能力の1.2倍以上のものであること。
ただし、200年確率で想定される雨量強度を用いることが計算技法上不適当であり、100年確率で想定される雨量強度を用いても災害が発生するおそれがないと認められる場合には、100年確率で想定される雨量強度を用いたものであってもよいこと。
(3) 洪水調節の方式は、原則として自然放流方式であること。やむを得ず浸透型施設として整備する場合については、尾根部や原地形が傾斜地である箇所、地すべり地形である箇所又は盛土を行った箇所等浸透した雨水が土砂の流出・崩壊を助長するおそれがない箇所に設置されること。
(4) 用水路等を経由して河川等に排水を導く場合であって、洪水調節池を設置するよりも用水路等の断面を拡大することが効率的なときには、当該用水路等の管理者の同意を得た上で、開発者の負担で用水路等の断面を大きくすることをもって洪水調節池の設置に代えたものであってもよいこと。
(5) 第3の規定に基づく洪水調節池等の設置を併せて行う必要がある場合、同時に(1)から(4)まで及び第3のそれぞれの技術的細則を満たすよう設置されること。
8 静砂垣等の設置等
 飛砂、落石、なだれ等の災害が発生するおそれがある場合には、静砂垣、落石又はなだれ防止柵の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。
9 設計雨量強度における降雨量変化倍率の適用
 排水施設の断面、洪水調節容量及び余水吐の能力の設計に適用する雨量強度については、6(1)、7の(1)及び(2)によるほか、開発行為を行う流域の河川整備基本方針において、降雨量の設定に当たって気候変動を踏まえた降雨量変化倍率を採用している場合には、適用する雨量強度に当該降雨量変化倍率が用いられていること。
10 仮設防災施設の設置等
 開発行為の施行に当たって、災害の防止のために必要なえん堤、排水施設、洪水調節池等について仮設の防災施設を設置する場合は、全体の施行工程において具体的な箇所及び施行時期が明らかであり、仮設の防災施設の設計は本設のものに準じたものとなっていること。
11 防災施設の維持管理
 開発行為の完了後においても整備した排水施設や洪水調節池等が十分に機能を発揮できるよう土砂の撤去や豪雨時の巡視等の完了後の維持管理方法が明らかであること。

第3 水害を発生させるおそれに関する事項(森林法第10条の2第2項第1号の2関係)
 開発行為をする森林の現に有する水害の防止の機能に依存する地域において、当該開発行為に伴い増加するピーク流量を安全に流下させることができないことにより水害が発生するおそれがある場合には、洪水調節池の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。その技術的細則は次に掲げるとおりであるほか、別記1を参考としていること。
1 洪水調節容量は、当該開発行為をする森林の下流において当該開発行為に伴いピーク流量が増加することにより当該下流においてピーク流量を安全に流下させることができない地点が生ずる場合には、当該地点での30年確率で想定される雨量強度及び当該地点において安全に流下させることができるピーク流量に対応する雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を開発前のピーク流量以下にまで調節できるものであること。
 ただし、排水を導く河川等の管理者との協議において必要と認められる場合には、50年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を開発前のピーク流量以下にまで調節できるものであること。
 また、開発行為の施行期間中における洪水調節池の堆砂量を見込む場合にあっては、第2の7の(1)によるものであること。
2 当該開発行為に伴いピーク流量が増加するか否かの判断は、当該下流のうち当該開発行為に伴うピーク流量の増加率が原則として1%以上の範囲内とし、「ピーク流量を安全に流下させることができない地点」とは、当該開発行為をする森林の下流の流下能力からして、30年確率(排水を導く河川等の管理者との協議において必要と認められる場合には50年確率)で想定される雨量強度におけるピーク流量を流下させることができない地点のうち、原則として当該開発行為による影響を最も強く受ける地点をいう。
 ただし、当該地点の選定に当たっては、当該地点の河川等の管理者の同意を得ているものであること。
3 余水吐の能力は、第2の7の(2)によるものであること。
4 洪水調節の方式は、第2の7の(3)によるものであること。
5 用水路等を経由して河川等に排水を導く場合であって、洪水調節池を設置するよりも用水路等の断面を拡大することが効率的なときには、当該用水路等の管理者の同意を得た上で、開発者の負担で用水路等の断面を大きくすることをもって洪水調節池の設置に代えたものであってもよいこと。
6 第2の規定に基づく洪水調節池等の設置を併せて行う必要がある場合には、法第10条の2第2項第1号及び同項第1号の2のそれぞれの技術的細則を満たすよう設置されること。
7 洪水調節容量及び余水吐の能力の設計に適用する雨量強度については、1によるほか、開発行為を行う流域の河川整備基本計画において、降雨量の設定に当たって気候変動を踏まえた地域区分ごとの降雨量変化倍率を採用している場合には、洪水調節容量の計算に当該降雨量変化倍率が用いられていること。
8 開発行為の施行に当たって、水害の防止のために必要な洪水調節池等について仮設の防災施設を設置する場合は、全体の施行工程において具体的な箇所及び施行時期が明らかであり、仮設の防災施設の設計は本設のものに準じたものとなっていること。
9 開発行為の完了後においても整備した洪水調節池等が十分に機能を発揮できるよう土砂の撤去や豪雨時の巡視等の完了後の維持管理方法が明らかであること。

第4 水の確保に著しい支障を及ぼすおそれに関する事項(森林法第10条の2第2項第2号関係)
 次に掲げる基準に適合するものであること。
1 貯水池等の設置等
 他に適地がない等によりやむを得ず飲用水、かんがい用水等の水源として依存している森林を開発行為の対象とする場合で、周辺における水利用の実態等からみて必要な水量を確保するため必要があるときには、貯水池又は導水路の設置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。
 導水路の設置その他の措置が講ぜられる場合には、取水する水源に係る河川管理者等の同意を得ている等水源地域における水利用に支障を及ぼすおそれのないものであること。
2 沈砂池の設置等
 周辺における水利用の実態等からみて土砂の流出による水質の悪化を防止する必要がある場合には、沈砂池の設置、森林の残置その他の措置が適切に講ぜられることが明らかであること。

第5 環境を著しく悪化させるおそれに関する事項(森林法第10条の2第2項第3号関係)
 次に掲げる基準に適合するものであること。
1 森林又は緑地の残置又は造成
 開発行為をしようとする森林の区域(開発行為に係る土地の区域及び当該土地に介在し又は隣接して残置することとなる森林又は緑地で開発行為に係る事業に密接に関連する区域をいう。以下同じ。)に開発行為に係る事業の目的、態様、周辺における土地利用の実態等に応じ相当面積の残置し、若しくは造成する森林又は緑地(以下「残置森林等」という。)の配置が適切に行われることが明らかであること。その考え方は、次に掲げるとおりであること。
(1) 相当面積の残置森林等の配置については、森林又は緑地を現況のまま保全することを原則とし、やむを得ず一時的に土地の形質を変更する必要がある場合には、可及的速やかに伐採前の植生に回復を図ることを原則として森林又は緑地が造成されるものであること。
 森林の配置については、森林を残置することを原則とし、極力基準を上回る林帯幅で適正に配置されることとし、森林の造成は、土地の形質を変更することがやむを得ないと認められる箇所に限って適用する。
 この場合において、残置森林等の面積の事業区域内の森林面積に対する割合は、別記2の「事業区域内において残置し、若しくは造成する森林又は緑地の割合」によること。
 また、残置森林等は、別記2の「森林の配置等」により開発行為の規模及び地形に応じて、事業区域内の周辺部及び施設等の間に適切に配置されていること。
 なお、別記2に掲げる開発行為の目的以外の開発行為については、その目的、態様、社会的・経済的必要性、対象となる土地の自然的条件等に応じ、別記2に準じて適切に措置されていること。
(2) 造成する森林については、必要に応じ植物の成育に適するよう表土の復元、客土等の措置を講じ、森林機能が早期に回復、発揮されるよう、地域の自然的条件に適する原則として樹高1メートル以上の高木性樹木を、表5を標準として均等に分布するよう植栽すること。
 なお、住宅団地、宿泊施設等の間、ゴルフ場のホール間等で修景効果を併せ期待する森林を造成する場合には、できるだけ大きな樹木を植栽するよう努めるものとし、樹種の特性、土壌条件等を勘案し、植栽する樹木の規格に応じ1ヘクタール当たり500本~1ヘクタール当たり1,000本の範囲で植栽本数を定めることとしてよいこと。

表5
樹 高
植栽本数(1ヘクタール当たり)
1メートル
2,000 本
2メートル
1,500 本
3メートル
1,000 本

(3) 道路の新設若しくは改築又は畑地等の造成の場合であって、その土地利用の実態からみて森林を残置し又は造成することが困難又は不適当であると認められるときは、森林の残置又は造成は不要とする。
2 騒音、粉じん等の著しい影響の緩和、風害等から周辺の植生の保全等
 騒音、粉じん等の著しい影響の緩和、風害等から周辺の植生の保全等の必要がある場合には、開発行為をしようとする森林の区域内の適切な箇所に必要な森林の残置又は必要に応じた造成が行われることが明らかであること。
 「周辺の植生の保全等」には、貴重な動植物の保護を含むものとする。また、「必要に応じた造成」とは、必要に応じて複層林を造成する等安定した群落を造成することを含むものとする。
3 景観の維持
 景観の維持に著しい支障を及ぼすことのないように適切な配慮がなされており、特に市街地、主要道路等から景観を維持する必要がある場合には、開発行為により生ずる法面を極力縮小するとともに、可能な限り法面の緑化を図り、また、開発行為に係る事業により設置される施設の周辺に森林を残置し若しくは造成し又は木竹を植栽する等の適切な措置が講ぜられることが明らかであること。
4 残置森林等の維持管理
 残置森林等が善良に維持管理されることが明らかであること。残置森林等については、申請者が権原を有していることを原則とし、当該残置森林等が所在する市町村との間で残置森林等の維持管理につき協定が締結されていることを原則とする。
 なお、残置森林率等の基準は、施設の増設、改良を行う場合にも適用される。

第6 太陽光発電設備の設置を目的とする開発行為について
 太陽光発電設備の設置を目的とする開発行為の許可については、第1から第5までの各要件及び別記3に掲げる要件を満たすこと。

別記1

洪水調節池等の設置に係る計画例

 法第10条の2第2項第1号の2に規定する水害の防止に係る許可基準について、洪水調節池等を設置する場合の計画例は以下のとおりとする。

1 当該開発行為に伴いピーク流量を安全に流下させることができない地点の選定
(1) 当該開発行為をする森林の下流において、30年確率(排水を導く河川等の管理者との協議において必要と認められる場合には50年確率。以下同じ。)で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を流下させることができない地点を選定する。
 ピーク流量の算定に当たっては、当該地域において適合度の高い算式を用いることとし、適当な算式がない場合にはラショナル式を用いる。
(2) (1)の地点のうち、開発中及び開発後の30年確率で想定される雨量強度における無調節のピーク流量(Q'i30)が開発前のピーク流量(Qoi30)に対して1%以上増加する地点iを選定する。
 ただし、当該ピーク流量の増加率が1%未満であっても、当該河川等の管理者が安全に流下させることができないと判断した場合は、その地点も選定する。
(3) (2)の地点が生じない場合には、法第10条の2第2項第1号の2の規定による洪水調節池等の設置は不要となる。
 なお、(2)の地点が生じない場合であっても、同項第1号の要件に照らしてピーク流量を調節することが必要な場合には、第2の7の基準によって洪水調節池等を設置することが必要である。

2 当該開発行為による影響を最も強く受ける地点の選定
(1) 1の(2)で選定した各地点について、それぞれ開発前の30年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量(Qoi30)を超えない洪水調節池等からの放流量(qi30)を算定する。
 洪水調節池等からの放流量(qi30)の算定に当たっては、当該地域において適合度の高い算式を用いる。
 例えば、以下の算式が考えられる。

            a × fo
 qi30 = Qoi30 × ――――
            Ai × Foi

 Ai:選定した各地点の集水面積(ha)
 Foi:選定した各地点の集水区域の開発前の流出係数
 a:洪水調節池等の集水区域の面積(ha)
 fo:洪水調節池等の集水区域の開発前の流出係数 

(2) (1)で算出した各地点の洪水調節池等からの放流量(qi30)が最小となる地点(j)を「当該開発行為による影響を最も強く受ける地点」(以下「当該地点」という。)として選定する。
 ただし、1の(2)で求めた各地点の中で、地点(j)に比べ流下能力が著しく小さい地点(k)が存在する場合(地点(j)においてnj年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量を流下させることができ、地点kにおいてnk年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量を流下させることができるときに、両地点の確率年がnj>nkとなる場合)又は当該河川等の管理者が必要であると判断した場合には、その地点(k)も当該地点として選定する。
 いずれの場合であっても、当該地点の選定に当たっては、当該地点の河川等の管理者の同意を得ることが必要である。

3 当該開発行為による影響を最も強く受ける地点における許容放流量の決定
(1) 2の(2)で選定した当該地点の当該洪水調節池等からの放流量(qi30)を30年確率で想定される雨量強度に対する洪水調節池等からの許容放流量(qpc30)として決定する。
(2) 当該地点が地点(j)の場合、地点(j)における開発前のnj(当該地点が地点(k)の場合にはnkとする。以下同じ。)年確率で想定される雨量強度におけるピーク流量(Qonj)をもとに、当該洪水調節池等からの放流量(qjnj)を算定し、これをn(=nj)年確率で想定される雨量強度に対する洪水調節池等からの許容放流量(qpcn)として決定する。
 nj年確率で想定される雨量強度における当該洪水調節池等からの放流量(qjnj)の算定に当たっては、2と同様に、当該地域において適合度の高い算式を用いる。
 例えば、以下の算式が考えられる。

            a × fo
 qjnj = Qojnj × ――――
            Aj × Foj

 Aj:地点jの集水面積(ha)
 Foj:地点jの集水区域の開発前の流出係数
 a:洪水調節池等の集水区域の面積(ha)
 fo:洪水調節池等の集水区域の開発前の流出係数

4 洪水調節池等の容量の決定
 洪水調節池等の容量を、洪水調節池等の集水区域における30年及びn年のそれぞれの確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量(q30及びqn)を30年及びn年のそれぞれの確率で想定される雨量強度に対する洪水調節池等からの許容放流量(qpc30及びqpcn)に調節できる容量に決定する。
 洪水調節池等の容量の計算は、簡便法(確率降雨強度曲線の特性を応用して必要調節容量を簡便に求める方法)、厳密計算法(洪水調節池の諸元を仮定し、シミュレーションを繰り返し、洪水調節容量を求める方法)その他の適切な方法により行う。
 n年確率で想定される雨量強度も考慮するのは、30 年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を調節できる洪水調節池等を設置した場合であっても、その設計内容によってはn年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を調節できない場合が想定されるためである。
 なお、30年及びn年確率で想定される雨量強度における開発中及び開発後のピーク流量を調 節できる洪水調節池等を設置することにより、n年から30年までの間の頻度で発生する雨量強度におけるピーク流量についてはおおむね調節できると考えて差し支えない。

別記2

主な開発行為の目的別の事業区域内の残置森林等の割合及び森林の配置等
開発行為の目的
事業区域内において残置し、若しくは造成する森林又は緑地の割合
森林の配置等
別荘地の造成 残置森林率はおおむね60パーセント以上とする。 1 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2 1区画の面積はおおむね1,000平方メートル以上とし、建物敷等の面積はおおむね30パーセント以下とする。
スキー場の造成 残置森林率はおおむね60パーセント以上とする。 1 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2 滑走コースの幅はおおむね50メートル以下とし、複数の滑走コースを並列して設置する場合は、その間の中央部に幅おおむね100メートル以上の残置森林を配置する。
3 滑走コースの上、下部に設けるゲレンデ等は1箇所当たりおおむね5ヘクタール以下とする。また、ゲレンデ等と駐車場との間には幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
ゴルフ場の造成 森林率はおおむね50パーセント(残置森林率はおおむね40パーセント)以上とする。 1 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林(残置森林は原則としておおむね20メートル以上)を配置する。
2 ホール間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林(残置森林はおおむね20メートル以上)を配置する。
宿泊施設、レジャー施設の設置 森林率はおおむね50パーセント(残置森林率はおおむね40パーセント)以上とする。 1 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2 建物敷の面積は事業区域の面積のおおむね40パーセント以下とし、事業区域内に複数の宿泊施設を設置する場合は極力分散させるものとする。
3 レジャー施設の開発行為に係る1箇所当たりの面積はおおむね5ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数設置する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
工事、事業等の設置 森林率はおおむね25パーセント以上とする。 1 事業区域内の開発行為に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。これ以外の場合にあっても極力周辺部に森林を配置する。
2 開発行為に係る1箇所当たりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
住宅団地の造成 森林率はおおむね20パーセント以上(緑地を含む)とする。 1 事業区域内の開発行為に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置する。これ以外の場合にあっても極力周辺部に森林・緑地を配置する。
2 開発行為に係る1箇所当たりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置する。
土石等の採掘   1 原則として周辺部に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。
2 採掘跡地は必要に応じ埋め戻しを行い、緑化及び植栽する。また、法面は可能な限り緑化し、小段平坦部には必要に応じ客土等を行い植栽する。

(注)1 「残置森林率」とは、残置森林(残置する森林)のうち若齢林(15年生以下の森林)を除いた面積の事業区域内の森林の面積に対する割合をいう。これは、森林を残置することの趣旨からして森林機能が十全に発揮されるに至らないものを同等に取り扱うことが適切でないことによるものである。
2 「森林率」とは、事業区域内の森林の面積に対する残置森林及び造成森林(植栽により造成する森林であって硬岩切土面等の確実な成林が見込まれない箇所を除く。)の面積の割合をいう。この場合、森林以外の土地に造林する場合も算定の対象としてよいが、土壌条件、植栽方法、本数等からして林叢状態を呈していないと見込まれるものは対象としないものとする。
3 「残置し、若しくは造成する森林又は緑地の割合」は、森林の有する公益的機能が森林として利用されてきたことにより確保されてきたことを考慮の上、法第10条の2第2項第3号に関する基準の一つとして決められたものであり、その割合を示す数値は標準的なもので、「おおむね」は、その2割の許容範囲を示しており、適用は個別具体的事案に即して判断されることとなるが、工場又は事業場にあっては20パーセントを下回らないものでなければならないという趣旨である。
4 「開発行為の目的」について
(1) 「別荘地」とは、保養等非日常的な用途に供する家屋等を集団的に設置しようとする土地をいう。
(2) 「ゴルフ場」とは、地方税法等によるゴルフ場の定義以外の施設であっても、利用形態等が通常のゴルフ場と認められる場合は、これに含め取り扱うものとする。
(3) 「宿泊施設」とは、ホテル、旅館、民宿、ペンション、保養所等専ら宿泊の用に供する施設及びその付帯施設を指すものとする。なお、リゾートマンション、コンドミニアム等所有者等が複数となる建築物等もこれに含め取り扱うものとする。
(4) 「レジャー施設」とは、総合運動公園、遊園地、動・植物園、サファリパーク、レジャーランド等の体験娯楽施設その他の観光、保養等の用に供する施設をいう。
(5) 「工場、事業場」とは、製造、加工処理、流通等産業活動に係る施設をいう。
(6) 上記表に掲げる以外の開発行為の目的のうち、学校教育施設、病院、廃棄物処理施設等は工場・事業場の基準を、ゴルフ練習場はゴルフ場と一体のものを除き宿泊施設・レジャー施設の基準をそれぞれ適用するものとする。また、企業等の福利厚生施設については、その施設の用途に係る開発行為の目的の基準を適用するものとする。
(7) 1事業区域内に異なる開発行為の目的に区分される複数の施設が設置される場合には、それぞれの施設ごとに区域区分を行い、それぞれの開発行為の目的別の基準を適用するものとする。
 この場合、残置森林又は造成森林(住宅団地の造成の場合は緑地も含む。以下同じ。)は区分された区域ごとにそれぞれ配置することが望ましいが、施設の配置計画等からみてやむを得ないと認められる場合には、施設の区域界におおむね30メートルの残置森林又は造成森林を配置するものとする。
5 レジャー施設及び工場・事業場の設置については、1箇所当たりの面積がそれぞれおおむね5ヘクタール以下、おおむね20ヘクタール以下とされているが、施設の性格上施設の機能を確保することが著しく困難と認められる場合には、その必要の限度においてそれぞれ5ヘクタール、20ヘクタールを超えて設置することもやむを得ないものとする。
6 工場・事業場の設置及び住宅団地の造成に係る「1箇所当たりの面積」とは、当該施設又はその集団を設置するための開発行為に係る土地の区域面積をいう。
7 住宅団地の造成に係る「緑地」については、土壌条件、植栽方法、本数等からして林叢状態を呈していないと見込まれる土地についても対象とすることができ、当面、次に掲げるものを含めることとしてよい。
(1) 公園・緑地・広場
(2) 隣棟間緑地、コモン・ガーデン
(3) 緑地帯、緑道
(4) 法面緑地
(5) その他上記に類するもの
8 「ゲレンデ等」とは、滑走コースの上、下部のスキーヤーの滞留場所であり、リフト乗降場、レストハウス等の施設用地を含む区域をいう。

別記3

太陽光発電設備の設置を目的とする開発行為の許可基準について

1 災害を発生させるおそれに関する事項
 次に掲げる基準に適合するものであること。
(1) 自然斜面への設置について
 第2の1の規定に基づき、開発行為が原則として現地形に沿って行われること及び開発行為による土砂の移動量が必要最小限度であることが明らかであることを原則とした上で、太陽光発電設備を自然斜面に設置する区域の平均傾斜度が30度以上である場合には、土砂の流出又は崩壊その他の災害防止の観点から、可能な限り森林土壌を残した上で、擁壁又は排水施設等の防災施設が確実に設置されること。ただし、太陽光発電設備を設置する自然斜面の森林土壌に、崩壊の危険性の高い不安定な層がある場合は、その層を排除した上で、擁壁、排水施設等の防災施設が確実に設置されること。
 なお、自然斜面の平均傾斜度が30度未満である場合でも、土砂の流出又は崩壊その他の災害防止の観点から、必要に応じて、排水施設等の適切な防災施設が設置されること。
(2) 排水施設の断面及び構造等について
 太陽光パネルの表面が平滑で一定の斜度があり、雨水が集まりやすいなどの太陽光発電施設の特性を踏まえ、太陽光パネルから直接地表に落下する雨水等の影響を考慮する必要があることから、雨水等の排水施設の断面及び構造等については、次のとおりである。
ア 排水施設の断面について
 地表が太陽光パネル等の不浸透性の材料で覆われる箇所については、表3によらず、次の表を参考にして定められていること。浸透能は、地形、地質、土壌等の条件によって決定されるものであるが、おおむね、山岳地は浸透能小、丘陵地は浸透能中、平地は浸透能大としてよいこと。
地表状態\区分
浸透能小
浸透能中
浸透能大
太陽光パネル等
1.0
0.9~1.0
0.9

イ 排水施設の構造等について
 排水施設の構造等については、第2の6の(2)の規定に基づくほか、表面流を安全に下流へ流下させるための排水施設の設置等の対策が適切に講ぜられていること。また、表面侵食に対しては、地表を流下する表面流を分散させるために必要な柵工、筋工等の措置が適切に講ぜられていること及び地表を保護するために必要な伏工等による植生の導入や物理的な被覆の措置が適切に講ぜられていること。

2 残置し、若しくは造成する森林又は緑地について
 開発行為をしようとする森林の区域に残置し、若しくは造成する森林又は緑地の面積の、事業区域内の森林面積に対する割合及び森林の配置等は、開発行為の目的が太陽光発電設備の設置である場合は、別記2によらず、次の表のとおりとする。
開発行為の目的
事業区域内において残置し、若しくは造成する森林又は緑地の割合
森林の配置等
太陽光発電設備の設置 森林率はおおむね25パーセント(残置森林率はおおむね15パーセント)以上とする。 1 原則として周辺部に残置森林を配置することとし、事業区域内の開発行為に係る森林の面積が20ヘクタール以上の場合は原則として周辺部におおむね幅30メートル以上の残置森林又は造成森林(おおむね30メートル以上の幅のうち一部又は全部は残置森林)を配置する。また、りょう線の一体性を維持するため、尾根部については、原則として残置森林を配置する。
2 開発行為に係る1箇所当たりの面積はおおむね20ヘクタール以下とし、事業区域内にこれを複数造成する場合は、その間に幅おおむね30メートル以上の残置森林又は造成森林を配置する。

根拠条文等

根拠法令

○森林法
(開発行為の許可)
第十条の二 地域森林計画の対象となつている民有林(第二十五条又は第二十五条の二の規定により指定された保安林並びに第四十一条の規定により指定された保安施設地区の区域内及び海岸法 (昭和三十一年法律第百一号)第三条 の規定により指定された海岸保全区域内の森林を除く。)において開発行為(土石又は樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為で、森林の土地の自然的条件、その行為の態様等を勘案して政令で定める規模をこえるものをいう。以下同じ。)をしようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
 一 国又は地方公共団体が行なう場合
 二 火災、風水害その他の非常災害のために必要な応急措置として行なう場合
 三 森林の土地の保全に著しい支障を及ぼすおそれが少なく、かつ、公益性が高いと認められる事業で農林水産省令で定めるものの施行として行なう場合

基準法令

○森林法
(開発行為の許可)
第十条の二 略
2  都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、これを許可しなければならない。
 一  当該開発行為をする森林の現に有する土地に関する災害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域において土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。
 一の二  当該開発行為をする森林の現に有する水害の防止の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水害を発生させるおそれがあること。
 二  当該開発行為をする森林の現に有する水源のかん養の機能からみて、当該開発行為により当該機能に依存する地域における水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。
 三  当該開発行為をする森林の現に有する環境の保全の機能からみて、当該開発行為により当該森林の周辺の地域における環境を著しく悪化させるおそれがあること。
3 前項各号の規定の適用につき同項各号に規定する森林の機能を判断するに当たつては、森林の保続培養及び森林生産力の増進に留意しなければならない。

関連行政指導事項

標準処理期間

経由機関での期間 ②8日
処理機関での期間 ①8日②8日
うち協議機関での期間
①8日②16日

協議等に要する日数を除く。

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この記事についてのお問い合わせ

農林水産部 林政課 総務グループ
電話:017-734-9505  FAX:017-734-8145

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