ホーム > 組織でさがす > 環境生活部 > 県民生活文化課 > ちょっと昔の青森県01「野辺地の馬車と電車」

関連分野

更新日付:2008年7月1日 県民生活文化課

ちょっと昔の青森県01「野辺地の馬車と電車」

野辺地駅周辺の懐かしい交通機関をご紹介します。   編集 近現代部会担当 中園 裕

  • 野辺地駅
    野辺地駅前の「馬車」
    (1950年代・県史編さんグループ所蔵)
 県庁所蔵写真を整理していましたら、野辺地駅を写した珍しい写真が見つかりました。残念ながら目録には撮影日が記載されていなかったため、野辺地町立歴史民俗資料館の駒井知広さんと、同町の県史編さん調査研究員でもある宮澤秀男さんに、写真に関する諸情報を調べてもらいました。今回は、お二人の調査結果をご紹介しましょう。
 お二人の調査によると、写真に見える馬車は、1950(昭和25)年から61(昭和36)年にかけて使われていたということです。野辺地町の青森県種畜場(現在は青森県農林総合研究センター畜産試験場)専用の馬車だといいます。種畜場職員の子供たちが、3キロメートル離れている野辺地小学校に通ったり、近所の主婦たちの買い物に使われていたのだそうです。
 駅前はまだ舗装されていないですが、のどかな駅と馬車のかわいらしさが、とても絵になりますね。馬車に揺られながら、買い物にでかける女性たちがにぎやかに話し合ったり、小学生たちがはしゃいでいた様子が目に浮かぶようです。

 なお、野辺地町の歴史に関する詳細な情報を知りたい方、また様々な資料を入手されたい方は、野辺地町立歴史資料館をぜひ訪ねてみてください。いろいろな発見があるかもしれませんよ。連絡先は下記まで。

〒039-3131 野辺地町野辺地1-1
    野辺地町立歴史民俗資料館   
            電話・FAX 0175-64-9494 

野辺地のレールバス
 馬車が消えた後に、野辺地駅に現れたのが懐かしいレールバスです。残念ながら、2002(平成14)年8月1日、廃止されてしまいましたが、上北地方の方々にとっては、たいへん懐かしい姿に見えるでしょう。
 南部縦貫鉄道会社は、七戸周辺の未開発工業資源を、むつ製鉄会社に運搬する目的で、1962(昭和37)年10月20日、東北本線の千曳と七戸間に開業しました。これは戦後に政府が進めた東北開発政策に則ったものでした。
 ところが、むつ製鉄会社は、採算がとれないとして、三菱グループが提携を辞退し、政府も事業化を断念して、1965(昭和40)年に解散します。そのため南部縦貫鉄道会社は経営難に陥り、翌年の5月に会社更生法の適用を申請しています。

 写真は、野辺地駅でのレールバス(1982(昭和57)年3月・県史編さんグループ所蔵)

 南部縦貫鉄道は国鉄との接続が生命線でした。国鉄が第3次長期計画で東北本線を複線電化する際、急勾配となる野辺地と千曳間の線路を廃線し、千曳駅より東側に複線用のトンネル(大平トンネル)を建設する計画を立てました。そのため南部縦貫鉄道は、野辺地への乗り入れを申請しています。
 申請の理由は、野辺地が下北半島と上北地方を結ぶ交通の要所であったからです。また野辺地には営林署や畜産試験場があり、林業や畜産業が盛んなことも重要な理由でした。こうして野辺地乗り入れが実現し、国鉄千曳駅は縦貫鉄道の西千曳駅となりました。それに伴い、東北本線には新駅(現千曳駅)ができています。
 しかし自動車社会が拡大するにつれ、国鉄は経営悪化を強め、1984(昭和59)年の国鉄合理化施策で、野辺地駅の貨物扱いは廃止されてしまいました。重要な収入源を失った南部縦貫鉄道は、東北新幹線の七戸乗り入れに着目します。七戸~野辺地~下北半島とつなぐ連絡鉄道を目指したわけです。ところが肝心の新幹線計画が進捗せず、構想が成立する前に、縦貫鉄道自体が廃止となってしまったのです。
 鉄道事業を廃止した南部縦貫鉄道株式会社は、名称を南部縦貫株式会社と改め、2003(平成15)年には沿線のレールや駅舎などを撤去しています。本社のある七戸駅舎跡は当時のまま残し、機関庫内にはレールバスも保存しています。そしてここ数年来、七戸駅構内でレールバス体験乗車会が開催されています。南部縦貫株式会社の好意と、愛好会や元運転士たちの熱意によって、南部縦貫鉄道の歴史は続いているといえるでしょう。

関連ページ

この記事についてのお問い合わせ

環境生活部 県民生活文化課 県史編さんグループ
電話:017-734-9238・9239  FAX:017-734-8063

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする