ホーム > 観光・文化・歴史(県史)・自然 > 世界文化遺産登録 > 連載企画『縄文遊々学』

更新日付:2012年11月22日 世界文化遺産登録推進室

連載企画『縄文遊々学』

第65回 見事な発見
 つがる市に所在する縄文時代の貝塚、史跡田小屋野(たごやの)貝塚から人骨が見つかったという報道がありました。専門家の鑑定では出産歴のある成人女性とのことです。田小屋野遺跡は戦前に、南側に位置する亀ケ岡遺跡と一緒に史跡指定されています。古い時代の史跡指定ですので、遺跡の内容が必ずしも明確に把握されていたわけではありませんでした。1990・91年には県立郷土館が史跡指定地外で発掘調査を行い、縄文時代前期の竪穴住居跡とその窪地の中に貝塚が形成されていることを確認しています。また、クジラの骨が出土するなど当時の食生活を知る上で貴重に資料が得られています。特に注目されるのはベンケイガイ製の貝輪(ブレスレット)が多数出土していることです。しかし、完形品はなく、製作途中のものか失敗作と思われる破片ばかりでした。ということはこのムラで貝輪づくりが盛んに行われ、完成品が他のムラへ供給されていたことが考えられ、交流・交易を考える上でも大きな発見がありました。
 しかし、この貝塚は調査が終わらないうちに土取りによって消滅してしまったと言われていました。したがって、現状では遺跡内で細かい貝が散らばってはいるもののはっきりとした貝塚は確認できない状況にありました。このままでは世界遺産の構成資産として扱うことは困難と考えられたことから、つがる市教育委員会は貝塚の確認を目的として、文化庁の許可を得た上で、指定地内の確認調査を今年度進めてきました。その結果、貝塚と貝に覆われた(おそらくは墓と考えられますが)人骨が見事に出土しました。
 遺跡は広いため、どこを掘るか、発掘調査の地点を選ぶことは簡単なことではありません。まして、墓は大きくありませんので、少し地点がずれてしまうとその発見は難しいと思います。少ない調査面積で大きな成果を上げることが求められていますので、今回はまさにそのとおりとなりました。このことは決して偶然ではありません。遺跡内で畑を作っている地元の方々から丹念に話を聞き、情報を整理した上で、地形の改変が少ない最も可能性の高い場所を選んで調査したことが発見につながりました。まさに地元と密着した日頃の活動のたまものと言えるでしょう。 
 我々の業界では良い遺跡に当たる人間とそうでない人間がいると言われますが、良い遺跡や発掘調査となるためにはちゃんとした理由があります。普段の活動の積み重ね、つまり良い準備があってこそ良い成果をもたらされることをあらためて実感した次第です。
  • 発掘調査が進められている田小屋野貝塚から見た岩木山
    発掘調査が進められている田小屋野貝塚から見た岩木山

  • 屈葬された出産歴のある成人女性
    屈葬された出産歴のある成人女性

この記事についてのお問い合わせ

世界文化遺産登録推進室
電話:017-734-9183  FAX:017-734-8128

この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • googleplus
  • LINE

フォローする

  • facebook
  • twitter

みなさんの声を聞かせてください

このページの内容に満足しましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

送信前に確認

このページの県民満足度

県民満足度