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更新日付:2011年12月26日 世界文化遺産登録推進室

連載企画『縄文遊々学』

第50回 恩師の教え
 長年指導していだいた考古学の恩師である弘前大学名誉教授村越潔先生が亡くなられてから4ヶ月余が過ぎ、先日偲ぶ会が行われました。昭和33年に弘前大学に赴任され、岩木山麓の発掘調査をはじめ、県内各地の遺跡の発掘調査や研究はもとより、本県考古学研究の指導にあたられ、また、現在の文化財保護行政の基礎を構築されました。本県に科学的な学問としての考古学をはじめて導入されたといっても過言ではありません。明るく、朗らかで、誰とでも分け隔てなく接する飾らないお人柄は、多くの方々に愛され、尊敬されていたと思います。発掘現場でも夏の日の暑い中には、作業員の方々に「暑くて大変だね」と気軽に声をかけておられました。

 先生には学生時代に考古学のいろはを教えていただいたとともに県内外のいろいろな遺跡に連れて行っていただき、中国、アメリカ、ロシアにも御一緒する機会がありました。三内丸山遺跡では長年にわたり、発掘調査委員会の委員長を務められ、遺跡の学術解明の指導に当たられました。また、県文化賞、県褒賞、地域文化功労者文部科学大臣表彰、東奥日報社の東奥賞なども受賞されています。先生は数多くの論文、著書を残していますが、中でも『円筒土器文化』は北海道・北東北において考古学を学ぶ学生の必読の書となっています。

 弘前大学を退官後、先生が良く話されていたことがあります。ご自身が考古学の世界で十分に活躍されていたことを踏まえた上で、縄文研究は歴史学であることは当然ながら、やはり当時の人々の普段の生活を解明することが大事で、その意味では小学校で学ぶ、生活科や家庭科と同じであると発言されていました。土器や石器などの個別研究にとどまらず、文化の総体を視野に入れた研究が必要との認識を示されていたと思います。それは『円筒土器文化』と著書のタイトルにも現れています。『円筒土器』ではなく『円筒土器文化』となっているところに先生の目指した研究の姿を見ることができると思います。

 青森県史別編『三内丸山遺跡』の編集の際には「そんな文章や表現だと一般の人々にわからない」ともよく言われました。論文や専門書は別として、一般の方々が多く目に触れる文章を書く際にはわかりやすい文章を書くように常に気を配られていました。写真にも細かく、ご自身が使用される写真の撮影はもちろん、焼き付けも自身でされていました。

 先生自身は免許が持っていませんでしたが、県内の道路にはとても詳しく裏道まで知っておられ、なぜ道路をしっているのか不思議に思いましたが、それだけ県内津々浦々まで足を運び熟知していたわけです。現地に足を運び、遺跡の発掘担当者の話を良く聞き、学問をひけらかしたり、高圧的な指導をすることは決してありませんでした。残念ながら先生のような大学研究者はもう出ないのかもしれません。先生の教えや薫陶を受けたものは県内外にたくさんいます。先生のような仕事はそのままできませんが、先生の言葉を胸に刻み、そして笑顔を忘れることなく今後も遺跡や文化財と向き合って歩みたいと思います。
  • 在りし日の村越先生
    三内丸山遺跡発掘調査委員長としてインタビューに答える在りし日の村越先生(2009.9)

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電話:017-734-9183  FAX:017-734-8128

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