更新日:2010年9月27日 青森県立郷土館

境界に生きた人々-遺物でたどる北東北のあゆみ-
◇政治の中心から遠く隔たっていた北東北は「北の辺境」とみなされ、そこに住む人々は「俘囚」「蝦夷」などと呼ばれました。しかし、列島全体からみれば、北東北は「北方の文化」と「中央の文化」が重なり合い、活発な交流や交易の機会に恵まれた地域でした。
◆異なる文化の境界に生きた北東北の人々は、独自のアイデンティティーを育み、豊かな文化をかたち作っていました。本展は、北東北のもつ多様性に着目し、境界に位置する「北東北世界」ともいうべき豊かな地域像を提供するものです。
◇70を越える遺跡の出土遺物や絵画・文書・道具類など、約1000点(重文含む)を出品。県の枠を越え、考古学と歴史学の垣根を越えて、これだけの質と量を備えた展示会は、今後、なかなか実現する機会がないでしょう。
■主催 北東北三県共同展実行委員会
青森県立郷土館 秋田県立博物館 岩手県立博物館 東奥日報社 秋田魁新報社 岩手日報社
■会期 9月17日(金)~10月24日(日)9時~18時 ※会期中は無休
■会場 青森会場=青森県立郷土館
■料金 一般500円(400円)大学・高校240円(200円) ※常設展示も観覧可
前売 一般400円(320円)大学・高校200円(160円) ※受付窓口で販売
※( )は20名以上の団体 ※中学生以下は無料 ※障害のある方は免除
■関連イベント
(1)記念講座 「考古学からみた北奥の内国化」
【講師】関根達人氏(弘前大学人文学部教授)
【日時】9月25日(土)13時30分~15時
【場所】青森市福祉増進センター「しあわせプラザ」 ※当館から徒歩5分
※公共機関または周辺の有料駐車場をご利用ください
【料金】無料(事前の申し込みが必要です) ※募集は100名
(2)展示解説会=学芸員が展示の見どころについてお話しします ※各回14時~15時
9月19日(日) 相馬信吉(考古) 9月26日(日) 本田伸(歴史) 10月3日(日) 伊藤由美子(考古)

【講師】関根達人氏(弘前大学人文学部教授)
【日時】9月25日(土)13時30分~15時
【場所】青森市福祉増進センター「しあわせプラザ」
◇雨模様にもかかわらず、90名が来場。質問も活発で、大いに盛り上がりました。
展示の概要

1 寒川(2)遺跡(秋田県) 2 長興寺(1)遺跡(岩手県) 3 盲堤沢(3)遺跡(青森県)=続縄文土器
約1万年にわたる縄文時代、東北北部と北海道南部は常に同一の文化圏をなしてきました。しかし、弥生時代以降、東北北部は「中の文化」と「北の文化」の境界に位置するようになりました。

1 市子林遺跡(青森県) 2 田向冷水遺跡(青森県)=黒曜石 3 田久保下遺跡(秋田県) 4 角塚古墳(岩手県) 5 中半入遺跡(岩手県)
古墳文化の波が岩手県南部まで及び、最北の前方後円墳である角塚古墳が造られました。土師器を持った人々の集落は北東北全般に分布しましたが、北の続縄文文化との結びつきも、なお継続されました。

1 堀野遺跡(岩手県) 2 櫛引遺跡(青森県) 3 阿光坊古墳群(青森県) 4 丹後平古墳群(青森県)=和同開珎(銅銭) 5 房の沢古墳群(岩手県) 6 藤沢狄森古墳群(岩手県)
古墳時代末期から奈良時代にかけて、北東北ではカマド付きの竪穴住居で構成される新たな集落が出現し、人口が急増しました。北東北各地で出現した末期古墳の豊富な副葬品は、埋葬者の出自や経済力を物語るものです。

1胆沢城跡(岩手県) 2志波城跡(岩手県) 3徳丹城跡(岩手県) 4秋田城跡(秋田県) 5払田柵跡(秋田県) 6厨川谷地遺跡(岩手県) 7落合(2)遺跡(岩手県) 8堰向(2)遺跡(岩手県) 9出羽型長胴甕 10中長内遺跡(岩手県) 11中野平遺跡(青森県)=須恵器四耳壺
8世紀以降、律令国家は秋田城・胆沢城・志波城などの城柵を新設し、北東北は国家の内と外に分かれることになりました。沖積地に新たな集落が開かれ、水田耕作など新たな生業が生まれました。

1 野木遺跡(青森県) 2 笹森館遺跡・野尻(4)遺跡・中平遺跡(青森県) 3 朝日山(2)遺跡(青森県) 4 胡桃館遺跡(秋田県) 5 三体の金銅聖観音像 6 黄金塚遺跡・どじの沢遺跡(岩手県) 7 山口館跡(岩手県) 8 五所川原窯跡群(青森県)=須恵器窯跡出土品 9 釈迦内中台(1)遺跡(秋田県) 10 杢沢遺跡(青森県) 11 島田遺跡(岩手県)
各地に仏教文化が浸透し、寺院が人々の拠り所となりました。須恵器や鉄生産などの新技術が移入され、各種の生産活動が盛んになりました。

1 コアスカ館遺跡(岩手県) 2 高屋敷館遺跡(青森県) 3 林ノ前遺跡(青森県)=主要出土品 4 新田(1)・(2)遺跡(青森県) 5 安倍氏・清原氏の時代 6 後三年合戦絵巻 7 鳥海柵跡(岩手県) 8 大鳥井柵跡(秋田県) 9 虚空蔵大台滝遺跡(秋田県) 10 国見山廃寺跡(岩手県) 11 観音寺の仏像(秋田県) 12 北東北の古鏡
安倍氏・清原氏が台頭し、前九年合戦や後三年合戦が起きました。彼らは寺院を保護し、仏教文化を振興しました。

1 平泉遺跡群(岩手県) 2 豊田城遺跡(岩手県) 3 橋爪館跡(岩手県) 4 清水寺の仏像(青森県)=木造天部立像 5 矢立廃寺跡(秋田県) 6 中崎館遺跡(青森県)
新たに北東北の支配者となった奥州藤原氏は、平泉を拠点とし、高度な浄土世界を作り上げました。平泉文化は、外ヶ浜に至る「奥大道」を中心に、北東北各地に波及しました。

1 西方寺毘沙門堂(岩手県) 2 秋田県域の経塚 3 北奥の豪族たち 4 一戸城跡(岩手県) 5 聖寿寺館遺跡(青森県)=櫛払 6 十三湊遺跡(青森県) 7 山王坊遺跡・伝檀林寺跡(青森県) 8 洲崎遺跡(秋田県) 9 穀丁遺跡(秋田県) 10 伝尻八館遺跡(青森県) 11 浜尻屋貝塚(青森県) 12 大光寺新城跡(青森県) 13 脇本城跡(秋田県)
北方支配権を手にした安藤氏は、十三湊を拠点として日本海交易を行いました。十三湊には大陸からの船も入り、国際港湾都市として繁栄しました。しかし、安藤氏はやがて、台頭してきた南部氏に追われ、十三湊を放棄しました。

=織田信長書状(個人蔵)
安藤氏は秋田氏として命脈を保ちますが、関ヶ原戦後は秋田を離れました。北東北は津軽氏・南部氏・佐竹氏の支配下となり、現在につながる北東北3県の基礎がつくられました。
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